<クローズアップ>

CMT友の会

シャルコー・マリー・トゥース病(以下、CMT)は、末梢神経が損傷することで、主に四肢の感覚と運動が不自由になっていく遺伝性の進行性神経疾患です。患者数が少なく、治療法もない希少難病として指定難病に認定されています。
そのCMTの患者がインターネットを通じて集まり、設立したのが「CMT友の会」。希少難病の患者団体として、情報を共有し、お互い支え合うことを目指す同会について、副代表の山田隆司さんと、事務局長の岸紀子さんにお聞きしました。

活動の状況

インターネットを通じて集まり交流を活動の中心に据える

CMTは、進行の程度や症状も多様な希少難病です。思春期から青年期の発症が多いようですが、低年齢での、また高齢になってからの発症もあります。研究が進み、遺伝子検査での早期診断が可能になりましたが、根治治療や進行を遅らせる治療はなく、情報が少ない中で不安や孤独感を募らせている患者が多い病気です。

こうした中で、2000年頃からCMT当事者3人が立ち上げたホームページをきっかけに交流が始まりました。同じ病気の仲間とつながることができ、情報交換ができる「居場所」を見つけたと喜びを感じましたが、掲示板への書き込みが増えるにつれ、意見の対立や無責任な発言も増え、次第にホームページの管理人個人では対応しきれなくなってきました。一方、インターネット上の交流にとどまらず、実際に会いたいという気持ちも高まり、「みなで会おう」と2005年に初めての交流会を開きました。インターネットは当事者同士がつながる良いきっかけになりましたが、やはり実際に会って話すことには意義があると感じ、各地で交流会を重ねて掲示板も一本化し、2008年に「CMT友の会」を設立しました。

こうした経緯から、今も交流会に重点を置き、アクセスが良く使いやすい施設(障害者研修保養センター 横浜あゆみ荘)がある横浜市で年2回、関西や東海などほかの地域で年に1回程度、交流会を開催しています。当事者の中に医師や作業療法士がいたことから医療関係者とのつながりもできました。交流会にも、毎回、医師や作業療法士、理学療法士などが参加し、最新の医療情報や生活の質を向上させる知識を学ぶ場にもなっています。会員以外の当事者の参加も受け入れ、年々参加者が増えています。

当事者が主体性をもって運営することを大切に

交流会以外の活動としては、厚生労働省のCMT研究班に協力してのアンケート調査や、市民公開講座で当事者発表を行っています。ホームページは外部への情報発信のツールと位置づけ、会員内ではグループウェア(組織や集団の内部で情報共有やコミュニケーションができるソフトウェア)を使って連絡を取り合い、情報を共有しています。

会の運営にあたっては、当事者がお互いに主体性をもって活動するというコンセプトを大切にし、役員はすべて当事者で、代表、副代表、事務局長、ウェブ担当、交流会担当、メール対応担当と役割を分担しながら進めています。ただ、役員は仕事や子育てに忙しい現役世代であり、体調が悪くなることも少なくないので、マンパワーの不足は常に課題となってきました。設立から8年を経て、新しいリーダー育成も必要だと考え、若いメンバーをJPA(一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会)の役員研修に派遣するなど、世代交代の準備を進めています。また、そもそもインターネットを通じたゆるやかな集まりということから、会費も徴収していなかったのですが、活動を充実させるためには資金も必要と考え、会費制にし、公的な助成金も受けるようになりました。

インターネットによる情報発信が中心で、会報誌なども作ってきませんでしたが、多くの患者や関係者とつながるためには、地域の難病相談支援センターや病院に置く紙媒体の制作物がやはり必要だと痛感しているところです。

指定難病となり活動の幅が広がる

CMTは、2015年から新しい難病法に基づく医療費助成対象疾病(指定難病)となりました。「公的に認められて良かった」という安心感はありますが、かなり重症でないと患者登録は受けつけられず、そもそも治療法や対策がない病気のため、恩恵を受けていない患者が多いのが現状です。しかし、指定難病となってから、難病関連の施策会議などへ呼ばれたり、人工筋肉の開発に取り組む企業などからのアプローチもあり、またメディアの取材を受けることも増え、認知度は高まってきたと感じます。

当会としても、組織づくりや交流会など内向きの活動だけでなく、ほかの団体との横のつながりや、社会への発信など外向きの活動を意識するようになりました。この機会を活かして、多くの人にCMTを知ってもらい、社会的な理解を深め、治療法の開発や患者の生活の質の向上に結びつけていきたいと考えています。企業からの申し出や寄付にも責任をもって対応できるように、団体としての整備が急務です。また、JPAやVHO-netにも積極的に参加するようになって、ほかの団体の活動内容や、今までの成功例や失敗例などを知ることもでき、こうした学びも当会の活動に活かしたいと考えています。

「出会って救われた」という感動を大切に集いの場を守る

今後の取り組みとして、交流会には親子で参加されるケースも多いので、「あおぞら共和国」(認定NPO法人 難病のこども支援全国ネットワークの施設)での親子キャンプを計画しています。親子で参加してもらい、親同士、子ども同士で交流できるような場を設けたいと考えています。親は、子どもの前では語りにくい悩みもあるでしょうし、子どもは子どもで、小さいうちからネットワークを築ければ、成長してからもつながることができ、将来的には団体を支えるリーダーに育ってくれることも期待しています。

また、私たちの交流会に参加する人は患者全体のごく一部で、情報が得られていない人や、身体的、精神的な理由から外に出られない患者がたくさんいるはずです。そうした人たちにこそ、患者団体によるサポートが必要だと思うので、もっと小規模な交流会を各地で開きたいと考えています。さらに、学びの場をつくりたいという思いもあります。生活の工夫や医療福祉制度など実践的なことだけでなく、どのように病気や障がいを受け入れ、人生と向き合っていくか、そんなことも学んでいきたいのです。

患者団体としての運営や活動にはさまざまな課題が山積し、決して楽な道程ではありません。しかし、希少難病の当事者同士、「出会って救われた」という感動は強く、私たちの原動力になっています。当事者が集まり、つながる場としての患者団体はとても大切な存在ですので、交流と情報交換というコンセプトを大切に、この場を守っていきたいと思います。

組織の概要

■CMT友の会
■設立 2008年
■会員数 約200名

主な活動

■電話相談
■患者およびその家族を中心にした相互交流を通じ、役立つ情報の交流・交換