<知恵の泉>

HOW TO/第11回
難病患者の就労支

NPO法人佐賀県難病支援ネットワーク主催
「難病患者の就労に関するシンポジウム」より

昨年9月22日、佐賀県立女性センターにて「難病患者の就労に関するシンポジウム」が開催されました。基調講演に加え、さまざまな関係機関が難病患者をとりまく就労の現状、取り組み、今後の課題などを発表。そのなかから、就労支援のハウツーを抜粋してご紹介します。

難病患者も支援者も視点を変えよう!

変えるべき視点とは、
■難病患者は「働けない病人」ではなく「持病を持つ労働者」。難病イコール働けないは誤解。多くの難病は疾患管理を適切に行うことで、さまざまな仕事につける。
■「できないこと」ではなく「できることに注目」。職種や働き方を適切に選び、職場での配慮があれば就労は十分に可能。多くの難病患者は病気と共存しながら能力を発揮し社会貢献を望んでいる。
■保健・医療・福祉分野だけでなく社会全体の課題。就労支援への社会的な認識が乏しく、相談相手も主治医や保健所が中心。公共職業安定所や障がい者職業センターの利用が少なく、今後の取り組みの余地がある。
■職業生活に即したひとり一人にあった配慮や支援。難病にはさまざまな疾患があり個別性が非常に大きい。職場内での適切な環境整備や配慮が重要だが、当事者もその点を職場に十分に伝えていない。個別的配慮や支援の実現のために、適切なコミュニケーションが必要である。

さらにこれまでの研究成果を踏まえての以下の提案がなされました。

■一歩進んだキャリア支援/具体的な職種よりも価値観や興味に基づく「キャリアの方向性」の発見が重要。個人プロフィールでは「障がい」よりも強み、好み、興味を重視。
■一歩進んだ職探し。支援者は企業の経営上のニーズに敏感に。そのために地域での企業の集まりへの出席も有用。また企業を訪問調査し人材ニーズを発見することが必要。
■企業のニーズに個々の貢献性をアピールする。
■最初からぴったりの仕事を見つけようと焦らない。
まず一歩を踏み出すことで多くの経験を得ることができるとの発表がありました。
また、障がい者職業総合センターと全国の難病相談・支援センターの内、先駆的に就業支援に取り組んできた3地域(北海道、佐賀/熊本、沖縄)との協働で、平成18年11月から1年間、難病就業支援モデル事業がスタートしました。難病就業支援の地域ネットワークのあり方を明らかにする取り組みとして注目されています。

佐賀県各機関の就労支援の取り組みおよび患者の声

佐賀県労働課   古賀大貴氏
難病患者の就労を受け入れる企業を誘致。障がい者・難病患者の新規地元雇用に対して1人/100万円の助成。「コールセンター人材養成講座」実施。(5時間×6日間)。企業の担当者にも見学してもらう。

NTT西日本・九州   佐賀事業部 前原秀之氏
「コールセンター人材養成講座」を佐賀県からの依頼で担当。障がい者向けのパソコン講座の経験者など、講師の選定に特に配慮。講師2名+コーディネーターで安心感を。スタッフ全員で常に励ましの声をかけた。受講者全員が修了。健常者に勝る熱意を感じた。

(株)損保ジャパン。ハートフルライン   藤隆利氏
「コールセンター人材養成講座」を見学、当社の説明も行った。一定レベルの保険知識と電話応対技術があれば採用。佐賀コールセンターで約10名が就労(06年9月)。リフレッシュルームや目安箱の設置など働きやすい環境づくりに取り組んでいる。

佐賀県障害者就労支援協議会   元居ミヨ子氏
駐輪場や駐車場などの管理業務を委託し、障がい者・難病患者を就労支援。業務拡大と障がい種別を越えた就労場所の確保に努める。

公共職業安定所   満田和弘氏
佐賀県では障がい者手帳の有無に関わらず職業を紹介。面接前の事業所の見学、職員やカウンセラーの同行、主治医からの助言を伝えるなど、事業主・難病患者双方の不安を解消する工夫をしている。就労後も職場担当者と難病患者の調整役としてジョブコーチ制を導入。

社会福祉法人たちばな会   障がい者・生活支援センター 中島多美子氏
佐賀全域を民生委員、保健師と連携しつつ3名の就労支援ワーカーが担当。ハローワークへの求人登録や面接の同行、通勤支援、職場でのトラブル相談の実施。

NPO法人佐賀県難病支援ネットワーク   三原睦子氏
平成16年の開設以来約200件の就労相談を受ける。現在まで約20名の就労を獲得。職場に一人でも病気への理解者がいれば病状が変化しても就労を継続できるのではと感じている。多くの関係機関と連携を密にして企業枠を拡大していきたい。

患者代表   大島かおる氏
国や県、企業の難病患者への就労支援方針が、職場の末端まで伝わっているとは限らない。受け入れる社員に対しての難病への知識習得の場があればと思う。

患者代表   原武禎治氏
職場では手助けがほしくても求められない厳しい現実がある。しかし多くの人の支えがあり働くことの喜びを実感している。