<知恵の泉>

HOW TO/第18回
地域学習会で生まれた「つながり」を生かして、行政と連携する東北学習会

阿部 一彦 (財団法人 仙台市身体障害者福祉協会 会長)
今泉 修 (東北福祉大学 感性福祉研究所)
渡邉 純一 (財団法人 仙台市身体障害者福祉協会 事務局長)

2004年にスタートした東北学習会は、宮城県沖地震を想定した大規模災害時の要援護者対策や仙台市障害者保健福祉計画に参加し、行政と連携した活動を展開しています。そこで、どのように行政に働きかけ、成果に結びつけてきたのか、その経緯やノウハウを、東北学習会を運営する皆さんにお聞きしました。

東北学習会における行政との連携の成果を教えてください

仙台市が実施した「障害者施策実施モニタリング」に東北学習会のメンバーが参加し、施策実践に関する評価と意見を述べ、障害者保健福祉計画と障害福祉計画の策定に取り入れられました。次の6カ年計画にも参加する予定です。

また、要援護者の防災対策として仙台市総合防災訓練に2007年から参加しています。大規模災害発生時のオストメイト用ストーマ装具の供給に関しては、他の市町村に先駆けて、関係事業所と仙台市との間で協定が締結されました。

行政と連携するようになったきっかけは?

東北学習会のメンバーの中に行政のOBや現役の市職員、あるいは行政担当者と面識のある人がいたので、相談してみようと自然に働きかけが始まりました。

モニタリングの際には、行政側から東北学習会に対して参加団体推薦の依頼がありました。東北福祉大学が行った災害時要援護者マニュアル作成にも参加したことなどから、東北学習会の存在が行政側にも認知されてきたようです。また、私たちの働きかけをきっかけに、放置されていた課題が確認できたこともあり、行政側にもメリットがあることが理解されたようです。

上手く連携していく秘訣は何ですか?

バラバラに要望したり、一方的に要求したりせずに、意見を集約し、行政側も納得できる着地点を見極めながら提案するなどアプローチの工夫が必 要です。

また、行政との連携は担当者との関係によるところが大きく、担当者の異動や引継ぎも影響してきます。ですから、担当者が代わっても必要性が理解されるように、提案や意見が計画に明記されることが重要です。

行政との連携で東北学習会はどんな役割を果たしたのですか?

行政との話し合いを進めるうちに、立場を超えて共通する問題に取り組もうとみんなの気持ちがまとまり、方向性や解決策が生まれてきました。「つなぐ」という役割を東北学習会が果たしたと思います。異なる立場にある当事者は1対1では話しにくいものですが、学習会のようにさまざまな立場の人が集まると、意外と建設的な話し合いができることもわかりました。

もともと仙台には市民が行政に参加する土壌があったので、東北学習会という場ができ、そこに地域性がうまく作用したという面もあったと思います。

今後はどのようなことを計画していますか?

今までは福祉施策への取り組みが中心だったので、今年から医療との関わりにも取り組み始めました。また、仙台・宮城での成果を他の地域にも広めたいと考え、まず福島での活動を進めています。

仙台市立病院の建て替えに関しても各団体の要望を集約し、国連の障害者権利条約批准を目指す運動にも協働して取り組む予定です。いずれも、個々の意見や提案を基にみんなで問題を共有し、行政に働きかけて地域に広げていくという、東北学習会で育んだ流れを大切にして活動していきたいと考えています。