<活動レポート>

活動紹介 第42回(2016)

地域でのネットワークを広げ、情報やノウハウを共有し活動を充実させていこうとする、各地での取り組みをレポート

第14回 東海学習会 in 愛知(2016年6月4日)

模擬講演を通して疾患や活動を理解、さらに地元情報の共有を行う

名古屋市公会堂で第14回東海学習会が開催されました。テーマは「『お互いを知り、つながりを深めよう』〜それぞれの疾患や患者会活動を理解しあう『交流と学び』〜」で、模擬講演を柱にした同テーマでの3回連続の取り組みとなりました。

最初に愛知県脊柱靱帯骨化症患者・家族友の会(あおぞら会)の林久代さんが、疾患説明に続けて、自身の体験として、痛みを我慢し続けて、発症から7年後、専門医に出会い黄色靱帯骨化症と診断されたこと、手術を受けて病状が寛解したが、逆に悪化するリスクもあることなどを発表。質疑応答では活動のモチベーションとして「外出困難な重度の会員さんの中には、会報が楽しみという人もいる。少しでも役に立ちたい」と述べました。

午後はNPO法人 愛知県難病団体連合会の下前君夫さんが、自身の疾患、慢性腎不全について講演。日本での患者数や糖尿病による透析患者数が増加している現状、全国に支部をもつ一般社団法人 全国腎臓病協議会の活動の成果、そして、1週間透析ができないと命にかかわるため、災害時の不安があることや、その対策の重要性について語りました。これに対して「週2〜3回の長時間の透析。生活時間の調整の大変さを知った」「ご自身の体験が豊富でわかりやすかった」などの感想が挙がりました。

その後、「東海学習会エリアの地元情報を集めよう」というグループワークに移りました。よく利用する施設、協力してくれる機関や人材を具体的に挙げ、その詳細(立地、費用、設備機器など)を付箋に書き出しました。まとめの発表では、さまざまな情報や「その手もあった!」というノウハウなどが紹介され、参加者で情報を共有しました。

第8回 北海道学習会 in 札幌(2016年6月11日)

地域の団体が直面する課題の解決を目指し、活動を再開

6月11日、札幌市の北海道難病センターで第8回北海道学習会が開催されました。北海道学習会は休会していましたが、地域学習会運営委員の増田靖子さん(北海道脊柱靱帯骨化症友の会)を中心に活動を再開することになり、今回は、「VHO-netを知ろう」をテーマに北海道の患者団体のリーダーが集まりました。

学習会ではまず、VHO-net中央世話人で北海道学習会を担当する増田一世さん(公益社団法人 やどかりの里)の講演が行われました。増田さんは、団体のリーダーが違いを越えて集い学び合うVHO-netのあり方に共感して、活動を続けてきたことや、試行錯誤しながらVHO-netが現在のような形になってきた経緯を述べました。また、リーダー同士のつながりがあることによって、社会制度の谷間などに対する問題意識が共有でき、連携して活動ができるなど、多くのメリットが期待できると語りました。 次に、VHO-net事務局の喜島智香子さん(ファイザー株式会社 コミュニティー・リレーション・チーム)が、社会を構成している企業市民として社会貢献活動を行っている同社の姿勢やVHO-netに対する支援の実際を説明しました。

全員が参加して行われたグループワークでは、「他団体の取り組みを知りたい」「リーダーとしての悩みを分かち合いたい」「北海道では雪で長い期間活動できないハンディキャップがあるが、ネットワークを広げていきたい」「ほかの地域の活動を知りたい」などの意見が出され、地域の課題を共有し、VHO-netのネットワークや活動の蓄積を活用して解決の道を探ろうという地域学習会の方向性を確認しました。

北海道は、冬季に活動しにくいことや、交通アクセスが悪いことなどから、地域学習会の活動にも困難が伴ってきました。そうした困難を抱える地域だからこそ、孤立しがちな当事者のよりどころとして患者団体や障がい者団体の存在が重要であり、団体のリーダーが集うVHO-netの活動が有益であるという認識を共有できたことが、今回の大きな収穫となったようです。

第28回 東北学習会in 仙台(2016年6月25日)

時代に合わせた患者団体のつくり方や活動のあり方を学び合う

6月25日、宮城県仙台市の仙台市シルバーセンターで第28回東北学習会が開催されました。

まず、小関理さん(仙台ポリオの会)が「患者会の作り方〜脊髄梗塞患者と家族の会の場合〜」と題して発表を行いました。複数の病気がある小関さんは、「脊髄梗塞患者と家族の会」を立ち上げた経緯とその活動を紹介し、インターネットを通じて活動する新しいタイプの患者団体のあり方や、同じ病気の人が集うことの重要性、その一方でリーダーの育成や活動資金の問題など、団体としての課題があることなどを述べました。次に松原玲子さん(乳腺患者会 プリティふらわぁ)が、ピアサポーターによる乳がん患者のサロン「マンマサロン」について、病院に働きかけて立ち上げた経緯や、病院と連携しての活動の様子、今後の取り組みなどを発表しました。 その後「『患者会の作り方』〜時代に合わせた患者会にするには〜」をテーマにグループワークを実施。グループ発表では、「患者団体を維持するために、団体同士の連携も必要」「IP電話サービスなどのIT技術を利用して効率化が図れる」「多くの人がリーダーを経験して学ぶことが大切」「患者団体は存続させることが重要。医療関係者との出会いも期待できる」「活動は、楽しく笑顔で、ピア精神で無理しないことを合い言葉に」などの意見が紹介されました。

最後に、「最近は患者団体の役割として情報提供が重視されがちだが、心の支え合いという意味での価値もあり、こうしてリーダーが学び合うことで共有できる部分があるのではないか」という総評がありました。

東北学習会で新しい取り組みなどを学び、それぞれが自らの団体に戻って活かせるようにする、また、リーダー同士が悩みを共有することでエンパワメントしていくという方向性を確認して学習会を終えました。

第35回 関東学習会in 東京(2016年6月26日)

ピアサポート5か条を基に、団体での活動を整理しその意義を考える

6月26日、東京のファイザー株式会社 オーバルホールで、第35回関東学習会が開催されました。今回は、各団体で手がける活動を書き出し、「ピアサポート5か条」に照らし合わせながら整理することにより、具体的な活動がどのようにピアサポートになっているのか、どのような意義があるのかを一緒に考えていくという試みでした。グループに分かれて行う作業の中で、それぞれの団体の活動や課題、経験談も語り合い、「5か条のどの項目に当てはまるか考えながら整理することで、日頃、自分たちの行っているピアサポートについて深く考えることができた」という感想も聞かれるなど、有意義な取り組みとなったようです。

今後もピアサポート5か条について議論を重ね、さらに進化させて、それぞれの団体のピアサポートの発展にもつなげていくことや、実際にピアサポートに深くかかわる患者団体のリーダーとして、ピアサポートのあり方を考えていくことを確認して学習会を終えました。

■グループ発表から

「ピアサポート5か条」に照らし合わせた活動の分類

①語り合い・支え合う関係を築き、互いのエンパワメントを実現する
 交流会、 電話相談、会報に近況報告を掲載、受診施設の紹介
②自分たちの活動の内容や体験的知識を社会に向けて発信する
 検診キャンペーン、会報発行、書籍の発行やホームページでの情報発信、講演会や勉強会・交流会、医療関係者への講演(患者講師)、学校PTAでの啓発活動や情報提供
③外部から広くフィードバックを受け、継続するための 自律した組織基盤を作ることを目指す
 助成金や後援などの申請、栄養士との連携、チャリティイベントの開催、スポーツ団体や企業とのタイアップ
④個人情報に配慮しながら、相談内容を記録・共有する
 各支部や事務局内での情報共有、ホームページの掲示板の活用
⑤独りよがりにならないように、社会に役立つ関わりや交流を行う
 ほかの団体との交流、連絡協議会などの組織への参加

【その他の活動】
ソーシャルネットワークの利用、医療者からの発信

第25回 北陸学習会 in 富山(2016年7月2日)

模擬講演を2人の演者で分担する構成の工夫などを通して、「伝える力」について討論する

第25回北陸学習会が、高岡市生涯学習センターで開催されました。2014年から取り組んでいるテーマ「『伝える力』をつける〜社会に信頼されるヘルスケア関連団体となるために〜」のもとに、石川県OPLL友の会による模擬講演が行われました。

まず会長の大田和子さんが、OPLL(後縦靱帯骨化症)を含む脊柱靱帯骨化症について、後縦・黄色・前縦靱帯が骨化する疾病の総称であることや、それぞれの位置や正常時との違いを発表。スライドに図や画像をつけて紹介し、症状などを伝えました。続いて事務局長の上口勲さんに交代し「発症から現在まで」と題して自身の体験を発表。握力低下から始まり、手術後は激しい頭痛の中で3ヶ月の寝たきり状態となって、コルセットで体や頭を固定された姿を見て当時幼かった子どもが病院に来られなくなったこと、やがて寛解し同僚には病名を隠して仕事を続け、そして2度目の手術へ踏み切ったこと。その時々のつらさや心情を語りました。その後、再び大田さんに交代し友の会の目的や活動についての発表で模擬講演が終了しました。

グループワークでの検討では、「講演者2人という構成に工夫があった。客観的でわかりやすい疾病・団体説明と、主観的な患者の生の声の双方で、伝える力が強まった」「体験談に患者団体がどんな力をつけてくれたかも加えた方が良いのでは」などの意見が挙がりました。

その後、学習会で配布する各団体の疾病・活動内容の要約文についての検討、さらに「VHO-netが考えるピアサポート5か条」についての議論が行われました。特にインターネット上の活動については、社会的な発信力の強さ、世代間ギャップ、トラブル回避などについてさまざまな意見が交わされました。

第28回 沖縄学習会 in 沖縄(2016年7月3日)

事例検討・事例集作成作業を通してピアサポートの手法や課題について検討する

第28回沖縄学習会が那覇市保健所で開催されました。沖縄学習会では、はじめにアイスブレイク(スタート時に場をなごませる手法)として、自己紹介でその日食べた朝食や昼食について短く話します。そこから参加者の人柄や生活ぶりが伺え、笑いが起こるなど、とても効果的です。

その後、2012年から継続して行っているピアサポートでの相談事例についての検討、さらに事例集作成へ向けた作業が行われました。運営委員によってある程度整理された事例をスライドで映写し、読み込みながら、よりわかりやすく内容が伝わるように整えていきます。この日の事例は、ピアサポーターが相談者に対して過剰な情報を提供し、結果的に2時間近く話してしまったというものでした。相手の悩みの主訴を絞り込む必要性についてや、どれくらいの時間が適当か、事例集として専門知識・用語を入れるべきかどうかなどが検討されました。また、それらの検討の中で、それぞれの団体が相談手法や解決策を紹介したり、悩みなどについても全員で意見を交換したりしました。

参加者の感想としては「相談事例を文章化するのはとても難しいことだと気づいた」「相談時のメモの取り方などにも、いろいろな手法があることがわかった」、また学習会の進め方として「文言の修正に時間をかけるのではなく、相談者の心理やピアサポーターの技術を掘り下げる話し合いをもっとしたい」などの意見も挙げられました。

第36回 関西学習会 in 大阪(2016年7月9日)

完成した『「患者・家族が語る」講演のポイント チェックリスト』を使って、模擬講演を聞き、評価する

第36回関西学習会が、午前・午後の部に分けての拡大学習会として大阪市のたかつガーデンで開催されました。

まず行われた、線維筋痛症友の会 関西支部の尾下葉子さんによる模擬講演は、前回の学習会で承認された『「患者・家族が語る」講演のポイント チェックリスト』を使って講演を聞く最初の機会となりました。尾下さんは、線維筋痛症は全身性慢性疼痛疾患で、痛むこと自体が病気であること、天気・ストレスなど生活の中のささいなことにも反応して痛みが発生し、症状も寝たきりから寛解まで個人差が大きいことを説明しました。そして、自身の体験として、発症によって教職を休職、退職。3年以上、医師と試行錯誤しながら“薬を探す旅”を続けたこと、痛みを表す表現は当事者独自のもので理解されにくいことなど、治療、社会生活での困難や、さらに患者団体との出会いから関西支部を立ち上げ、顔の見える交流会活動を続けていることを語りました。

講演後、チェックリストに沿って全員で評価。アイコンタクト…◎、深刻な話はユーモラスに…◎、自分の言葉で自分の体験を語る…◎と、高い評価が出た一方、導入部で簡単な自己紹介がほしい、スライドを使い視覚に訴える手法も取り入れてはどうかなどの意見が出され、その項目の解決策を全員で検討しました。

今回の模擬講演では常にチェックリストをベースに検討することで活発な意見交換ができ、さらにレベルアップした講演につなげていけることを確認できたようです。その後、患者講師情報リストの検討、助成金についての情報交換、各患者団体からの情報提供などを行い、充実した拡大学習会となりました。

第24回 九州学習会 in 佐賀(2016年7月23日)

団体の運営、活動の広がり、活かし方…
「つながり」をテーマに、2つの発表とグループワークでの話し合いを実施

第24回九州学習会が佐賀県難病相談支援センターで開催されました。今回のテーマ「つながり」に沿って午前中、2団体による発表(各20分)がありました。

まず、ベーチェット病友の会 福岡県支部の大本律子さんは、長期入院の中で同じ疾患の人にひとりも会えず、つながりを求めてインターネットで検索。全国組織の存在を知り福岡県支部を設立したことを語りました。そして交流会についてや、治療薬に共通点のある福岡IBD友の会と連携した活動について伝えました。団体運営では「お客様はいない。みなに役割がある」をモットーに役割を分担していると述べました。続いて、プラダー・ウィリー症候群児・者親の会「竹の子の会」九州支部の渡邉福さんが発表。幼児期からの過食と肥満、発達遅延などの疾患説明の後、竹の子の会だけでなく、子育てにかかわる数多くの組織で活動する経験から、意図的なつながりより、いつの間にかつながっているくらいがちょうどいい、つながった先には無数の資源があると結びました。

午後からは4班でのグループワークへ。さまざまなつながりの場、コツ、活かし方などについて話し合われました。まとめでは、「負担ではなくエネルギーになるつながりを模索していきたい」「つながることで視野が広がり出会いがある。一方で仕事が増えたり責任が重くなったりすることもある。そこは工夫が必要」「つながるためには自分自身が動くことが大切」などの意見が発表されました。

今回は初参加者が4人。その中で「2人の発表を聞いたり、グループで話し合ったりして、会の活動をもう一度頑張ろうという気になった」という言葉が印象的でした。