<活動レポート>

活動紹介 第41回(2016)

地域でのネットワークを広げ、情報やノウハウを共有し活動を充実させていこうとする、各地での取り組みをレポート

2016年度地域学習会合同会議 

1年の活動を振り返り新たな取り組みへの思いを共有─地域学習会合同会議開催

2016年度のVHO-net地域学習会合同会議が、1月30日、東京のファイザー株式会社 オーバルホールで行われました。合同会議では、まず各地域学習会の2015年度の活動報告と2016年度の企画発表を実施。それぞれの発表と質疑応答をふまえて、世話人を交えての地域別議論、修正を行い、2016年度の企画案が承認されました。最後に代表世話人の森幸子さん(全国膠原病友の会 代表理事)が「発表し合うことで、自分たちの活動を客観視でき、企画案もより良いものにできたと思う。今年度の発展を楽しみにしている」と締めくくりました。また、事業報告書の確認、各世話人や新運営委員などの紹介も行われ、全国から集まったメンバーが新しい年度の活動への思いを共有する場となりました。

各地域学習会の報告から

■北海道学習会
VHO-netを知り、地域での活動に活かす方法を考えたい。活動再開に向けて、各団体の全国組織の北海道支部の方々に力添えをいただきたい。
■東北学習会
それぞれの団体や地域で活用できるように、患者団体の活動をレベルアップする方策や社会資源の活用を学びたい。
■関東学習会
日常から学びの種を見つけ、多様な視点から考えることを身につけたい。「ピアサポート5か条」を、自らの活動に引き寄せて考えたい。
■東海学習会
お互いの疾患や活動を理解し合い、つながりを深めていきたい。地域で信頼される場であると認識されるように活動していきたい。
■北陸学習会
社会に信頼されるために伝える力を身につけることを目的に、模擬講演や「ピアサポート5か条」の共有と話し合いも行いたい。
■関西学習会
患者の思いを深く伝える講師の育成、情報の共有を目指したい。また、ワークショップや「ピアサポート5か条」の学びを活かしたい。
■四国学習会
模擬講演を行い、今後の生活や活動に活かしたい。ピアサポートの相談事例の検討を行い、相談者に役立つ支援のスキルアップを目指す。
■九州学習会
共通の課題を見出し、各団体が継続、変革するための活動を学びたい。また「ピアサポート5か条」の学びを共有していきたい。
■沖縄学習会
相談者の利益を生むような方向に軸をおいて、ピアサポートの事例検討を行い、その多様性を学び、活動に活かしたい。

第23回 九州学習会 in 佐賀(2015年12月19日)

「軌跡・継続・変革」をテーマに2団体の活動発表を通して熱い意見を交わし、パワーアップ!

第23回九州学習会が、佐賀県難病相談支援センターで開催されました。テーマは2015年10月31日・11月1日に行われた第15回ヘルスケア関連団体ワークショップを踏襲し、「軌跡・継続・変革」。

まずNPO法人 IBDネットワーク 副理事長の中山泰男さん、日本ALS協会 佐賀県支部の山本千恵子さんによる各20分の発表が行われました。長年、難病患者の制度創設のために行政や国とかかわってきた中山さんは、患者団体の創立理由、変遷などを分析し、自分が所属する団体だけですべてを賄うのではなく、他団体と共同して不足を補い、得意分野を活かそうと提案。数々の団体とリンクし、相乗りしていくという、中山さんの原点である熊本IBDの活動が印象的でした。山本さんは、団体発足から3年間の「よし頑張るぞ!」から5年、8年と過ぎるうちに「順調だと思っていたのに…」「こんなはずではなかった」と変遷していった様子や、解散を考えるまでになった経過を伝えました。そして、そこから活動を縮小してでも相談窓口だけは死守し存続するという変革を行ったところ「頑張らない自然体」で再スタートを切れたことを語りました。

その後、4班に分かれてのグループワークが行われました。まとめ発表では「継続していくためには設立の原点に戻ることが大切」「トップダウン方式ではなく、みなが世話人になるフラットな関係づくりはどうか」「患者団体は日本を救う」「人を残し、道を残そう」など、ストレートで力強い感想も多く挙がり、参加者のリーダーたちがパワーを充電するような印象を受けた学習会でした。

第34回 関東学習会 in 東京(2016年2月28日)

「ピアサポート5か条」を基に自らの体験を振り返り共通課題を考える

2月28日、第34回関東学習会が東京のファイザー株式会社 オーバルホールで開かれ、「ピアサポート5か条」を基にしたディスカッションが行われました。「ピアサポート5か条」は、VHO-netの「信頼されるピアサポート・プロジェクト」により昨年まとめられ発行されたものです。学習会ではまず、同プロジェクトメンバーの山根則子さん(日本オストミー協会 横浜市支部)が「ピアサポート5か条」作成の経緯や意図の説明と、自らの団体の活動に照らし合わせた発表を行い、その後、グループディスカッションが行われました。

ディスカッションでは、「ピアサポート5か条」についての意見が挙がり、参加者それぞれのピアサポートの具体例や経験談について話し合われました。多くのヘルスケア関連団体にとってピアサポートはとても身近な活動であるため、「患者団体のピアサポートにおいて記録をとるべきかどうか」「自分たちの活動の内容や体験的知識をどのように社会に発信していくか」など、共通する課題について議論が盛り上がる場面もあったようです。

初参加者からは「所属団体の活動だけでは視野が狭くなりがちなので、ほかの団体の人と交流することは有意義だと感じた」「これからの団体の活動を担う若いメンバーにぜひVHO-netを紹介したい」「活動へのモチベーションを上げる刺激を受けた」「後から発病した人の疑問や不安に応える活動をこれからも続けたい」などの感想や今後の展望が述べられました。

最後に、山根さんが総括として「『ピアサポート5か条』は完全版ではなく、これからもみなで育てていくもの。自分の団体や活動に引き寄せていろいろな意見をお聞かせいただきたい」とメッセージを述べました。これまでも「より良いピアサポート」を目指す取り組みを行ってきた関東学習会。ピアサポートの本質をより明確にし、社会資源とするための共通の出発点として誕生した「ピアサポート5か条」の目的をふまえた、有意義な学習会となりました。

第27回 沖縄学習会 in 沖縄(2016年3月20日)

ピアサポートの事例検討を継続、事例集作成のプロセスこそが学習会の大切な意義だと確認

第27回沖縄学習会が沖縄産業支援センターで開催されました。運営委員の気配りから、レジュメや出席者名簿、「VHO-net5ヶ条」が黒地に白抜きの文字で表示されており、視覚障害のある沖縄県網膜色素変性症協会の参加者から「とても見やすい!」と声が上がったのが印象的でした。

今回のテーマは、沖縄学習会がこれまで回を重ねてきたピアサポートでの相談事例についての検討です。実際の相談事例を基に、相談者が特定できないように運営委員によって完全なフィクションとして文章化された新たな2例が提示されました。1例目は、ピアサポーターは相談者にどこまで共感して良いのか。そして、同じ団体の会員や医師への誹謗・中傷を語る相談者に対してどう対処するか。2例目は、相談者からのSOSをどのようにキャッチしていけば良いのか。ひとりで抱え込まない、医療・福祉の専門機関へとつないでいくなどといったスキルアップの必要性、それぞれの体験なども語られ活発な意見交換がありました。中央世話人として参加した横浜市立大学医学研究科・医学部看護学科 教授の松下年子さんのアドバイスも交え、ポイントのまとめ方、文言の選び方、専門用語の使い方や解説などについても検討がなされました。

ピアサポートの事例集作成を目指している沖縄学習会ですが、今回は「成果物ありきではなく、それを作るプロセスでの話し合いの大切さ」を改めて確認した学習会となりました。

第35回 関西学習会 in 大阪(2016年4月23日)

『「患者・家族が語る」講演のポイント チェックリスト』が完成し承認。
「患者講演者紹介リスト」の作成も進める

第35回関西学習会が、大阪市のたかつガーデンで開催されました。

まず、1月30日に東京で開催された地域学習会合同会議への参加者から、全国の活動内容の紹介が行われました。続いて、関西学習会が作成中の「患者講演者紹介リスト」への情報の書き込みが、運営委員などの指導によって行われました。連絡先、講演できる分野、講演対象者、これまでの実績などをフォーマットに則って記入し、これを窓口として積極的に患者講師の活動をしていこうというものです。ところが今回は初めての参加者が多かったこともあり、この時点で「患者講演者紹介リスト」へ記入するグループと、VHO-netとはなにか、その活動について説明を受けるグループの2つに分ける臨機応変な対応がとられました。「初参加の人を置いてきぼりにしない」という気遣いが感じられました。

休憩後は、これまで長い時間をかけて精査してきた『「患者・家族が語る」講演のポイント チェックリスト』が完成し、全員の承認を受けました。今後は全国の地域学習会に発信し、参考・活用していけるようになります。

その後、4月14日に起こった熊本地震で、熊本難病・疾病団体協議会、VHO-net、患者団体の連携により被災した難病患者の窮状に対応できた事例が紹介され、ネットワークの大切さを再確認しました。さらに、患者団体活動での助成金申請についても情報交換や検討が行われ、内容の濃い学習会となりました。

第11回 四国学習会 in 徳島(2016年4月24日)

電話相談でのピアサポートにおける「就労問題」について検討を行う

第11回四国学習会が、徳島市のふれあい健康館で開催されました。前回の学習会で検討した、ピアサポートにおける電話相談対応の留意点について、運営委員が整理したレジュメを題材に話し合いが行われました。

第一の検討課題は「就労」。就労については専門分野につなぐことが重要で、まずはハローワークに設置されている難病患者就職サポーターを紹介する。その際に、企業面接で病名をオープンにするかしないかを電話相談時に助言するべきかどうかで、議論が分かれました。県や地域によって、ハローワーク、就労支援センター、労働局の取り組み方に違いがあることも、それぞれの経験談からわかってきました。まずは患者団体が行政などの就労支援体制を把握しておくこと、ハローワークなどに難病患者の就労相談数などの情報収集を行うこと、さらに行政や企業に対して、体調の悪い時にはどういった配慮が必要かなどの情報提供を行うことが大切であるなどの意見が挙がりました。中央世話人として参加した横浜市立大学医学研究科・医学部看護科 教授の松下年子さんからは、「患者団体が社会資源として認められることが大切。難病患者にとって就労は身近になり、そのクオリティーも高くなってきている」との意見がありました。

検討課題には、ほかに「福祉」「医療」「家庭内」がありましたが、今回は就労問題についての検討でタイムアウト。四国学習会としては今後も幅広く、より良い電話相談を可能にしていくツール制作を目指しています。