<活動レポート>

活動紹介 第39回(2015)

地域でのネットワークを広げ、情報やノウハウを共有し活動を充実させていこうとする、各地での取り組みをレポート

第32回 関東学習会 in 東京(2015年5月31日)

ディスカッションを通してピアサポートの場で、多面的に相談者を受け止める視点を学ぶ

5月31日、東京のファイザー株式会社本社で開催された第32回関東学習会では、前回に引き続き、ピアサポートでの相談事を通して視点の広がりをもつためのディスカッションが行われました。 今回、取り上げた事例は、がん患者やその家族が、がん体験者や医療従事者に相談することができるサロンやカフェ形式の交流の場で、医療者への不満ばかり述べる相談者のケース。「がんカフェ」とは、がん患者を対象に、がんサバイバー(がんと診断され、がんと共存し社会生活を送る人)や、がんにかかわる医師、看護師、ソーシャルワーカーなどが進行役となり、話し合いや相談を行う活動です。

ディスカッションでは、相談者の思いやその背景を探りながら、本当に悩んでいることや課題、希望、相談者に前進を促す対応について、各参加者が自分の体験などもふまえながら掘り下げて話し合いを実施。グループ発表では「患者の多くに医療関係者への不満はある。人によって受け止め方、悩みの抱え込み方が違うので、丁寧に聞く必要がある」「患者・家族と医療者では価値観が違うことを改めて感じた。がんを告知されると患者は死を覚悟するが、医療者には治る病気という意識がある」「解決策をアドバイスされるより、言いたいことを聞いてもらえることで解決することもあるのではないか」などの意見が紹介されました。

また、全体討論では「相手の背景を探る取り組みを経験して、所属団体で相談を受ける時にも背景を考えながら聞けるようになり、自分自身も前向きに対応できるようになった」「グループでのピアサポートの良さを改めて認識した」「どの方の意見を聞いても共感できる部分があり、心強く思った」「参考になる取り組み方を聞くことができた。今までと異なる視点で活動を見直し、向上させていきたい」などの感想が述べられました。この取り組みが各自の活動に役立っていることがうかがえ、ディスカッションを終えて参加者それぞれの満ち足りた表情が印象的な学習会となりました。

第12回 東海学習会 in 愛知(2015年6月20日)

他団体の講演を聞き、意見交換の中で自らの団体活動を振り返り検証する

第12回東海学習会が愛知県のウィルあいちで開催されました。今回のテーマは「『お互いを知り、つながりを深めよう』〜それぞれの疾患や患者会活動を理解しあう『交流と学び』〜」。

まず、Fabry NEXT代表の石原八重子さんが、東海学習会メンバーを対象とした15分の講演を行いました。ファブリー病の疾患説明や患者団体を立ち上げた経緯、希少難病ならではの活動における悩みや工夫、つながりの大切さなどをスライドを使い発表しました。これを受けて2グループに分かれて検討を行い、良かったこと、わかりにくかったこと、もっと詳しく聞きたかったことなどを付箋に書き出していきました。

グループワークでは講演についての検討と同時に、書き出した項目を自分自身の団体にフィードバックしていく作業が行われました。自分たちの疾患をどう伝えるか、活動では何を大切にしているのか。疾患の違い、当事者・家族という立場の違い、Fabry NEXTのような新しい団体と年月を重ねた団体の違い、規模の違いなどをふまえながら、共通部分を見出す話し合いが行われ、それによって自分たちの団体活動の振り返りや検証をすることができたようです。

まとめ発表では、「活動では会員同士の心の接近感を大切にしたい。先輩患者会員はその経験を財産として会員に寄り添い、希望をもって運営をしていこう」「これまでの活動での継続力を尊重しながら、新しいパワーのある患者団体の活動を参考にしていきたい」という感想が印象に残りました。

第26回 東北学習会 in 仙台(2015年6月28日)

「就労」をテーマに経験発表や専門職を交えたディスカッションを実施

6月28日、仙台市シルバーセンターで「障がい者の就労について(働きたい・働き続ける)」をテーマに第26回東北学習会が開催されました。

まず、仙台ポリオの会の小関理さんと、全国膠原病友の会の千葉照之さんが、当事者の立場から自らの経験を発表。複数の病気や障がいのある小関さんは、障害者手帳などの社会資源を活用しながら就労を続けてきた経緯や、2013年に発足した仙台市難病サポートセンターの活動について述べました。千葉さんは、患者団体などでの交流がないと必要な情報が得られないこと、現在は、後に続く人たちに有益な情報提供を行いたいと障害者福祉センターのピアカウンセラーとして活動していることなどを紹介しました。次に、岩手県難病・疾病団体連絡協議会の大橋絹子さんが「岩手県では難病患者就労サポーターを中心として就労支援が行われており、徐々に成果が上がっている」と報告。他県からの参加者が熱心に質問する場面も見られました。

午後からは「障がい者・難病患者の就労」をテーマにグループワークが行われ、「福祉サービスを利用していない人が意外と多い。難病相談支援センターや障害者支援センターを活用して情報を得ることが大切」「患者同士で話すことで問題が整理されることもあるのではないか」「病気が原因で退職する前に支援センターや患者団体に相談したい」「難病患者の就労について理解は広まってきたが、地域差が大きい」などの意見が発表されました。

今回は、岩手県からの参加や専門職の参加も多く、就労について深い話し合いができ、また交流の場も広がりました。専門職の参加者からは「当事者の意見を聞くことができ有意義だった。ここで得た知識を支援に役立てたい」との感想も述べられました。東北エリアで地域の輪を広げ、地域の問題解決にフォーカスして取り組んできた東北学習会。今回もともに語り合うことによって、理解を深め、エンパワメントする有意義な場となったようです。

第23回 北陸学習会 in 富山(2015年7月4日)

2つの模擬講演を通して疾患への知識を深め、伝える力について検討する

第23回北陸学習会が富山県の高岡市生涯学習センターで開催されました。第21回から連続して取り組んでいる、「伝える力をつける〜社会に信頼されるヘルスケア団体となるために〜」をテーマに2つの患者団体が模擬講演を行いました。

午前の部では、NPO法人 難病ネットワークとやまの三部庫造さんが、高次脳機能障害の当事者として、企業の労働組合を対象に想定して講演。自動車事故で脳に傷害を受け、病気という意識がない本人やその家族の戸惑いとつらさ、自立サポート施設との出会いなどから働きやすい環境ができ、リハビリにつながったことなどを伝えました。午後の部では、全国パーキンソン病友の会 富山県支部の木島律子さんが、同病の患者・家族を対象に想定して講演を行いました。母親の介護体験を通して、当事者・家族それぞれの心の持ちようや、患者団体との出会いによって仲間を得たことで、母娘が病気と向き合い救われたことなどを語りました。そして、それぞれの講演に対してのグループワーク、まとめ発表、全体討論を通して、疾患に対する知識を深め、講演テクニックについても活発な議論が交わされました。

最後に富山大学人文学部の准教授でVHO-net中央世話人の伊藤智樹さんが今回の学習会の総評を述べました。そして、「昨今は専門職が患者や家族といった当事者から話を聞きたいという要望が大きくなっている。体験談のより良い伝え方や、何を聴衆に訴えたいかというメッセージ性を磨いていきましょう」と締めくくり、充実した学習会となりました。

第10回 四国学習会 in 高知(2015年7月25・26日)

事例を基により良い電話相談の対応を検討し、マニュアル作りを目指す

第10回四国学習会が、1泊2日の拡大学習会として高知市文化プラザ「かるぽーと」で開催されました。今回は、患者団体に寄せられた電話相談についての事例検討を行い、より良い対応方法を探っていこうというテーマで、高知県立大学社会福祉学部の教授で臨床心理士の杉原俊二さんをアドバイザーとして招き行われました。

1日目は3事例の発表を聞き、それぞれの感想、課題などを付箋に書き出し、類似点のあるものをグルーピングしながら問題点を整理していきました。事例からは、難病についての相談と人生相談のような内容のものの線の引き方、名前を名乗らない人にどう対応するか、初めて病名を聞くような難病に関する相談の場合の対処法など、多くの課題が浮かんできました。

2日目は、まずカウンセリングのプロである杉原さんの講義を聴き、昨日の検討内容を基にワークショップに入りました。まとめでは、電話相談において患者団体が行うピアサポートの役割として、傾聴、相談者が抱える問題点の交通整理、患者団体や行政などの専門機関への紹介、本人自身が解決していけるようにサポートするエンパワメントなどが挙げられました。そして、どのような相談が多いのかという整理、患者団体としてどこまで相談に対応できるかという範囲、それらを医療・福祉・就労・家族問題などの分野ごとに分け、どのような情報提供ができるか、対応の仕方を今後、検討し、マニュアル作りにつなげていこうということになりました。

第33回 関西学習会 in 大阪(2015年8月2日)

「患者・家族が語る講演のポイント チェックリスト」と「講演者派遣リスト(仮)」の作成について検討を重ねる

第33回関西学習会が大阪市のたかつガーデンで開催されました。

まず、関西学習会が作成している「患者・家族が語る講演のポイント チェックリスト」について、前回の学習会で議論され、運営委員が整理したチェックリストを、今回の模擬講演者、プラダー・ウィリー症候群児・者親の会「竹の子の会」東尾雅史さんの講演で実際に使ってみようという試みが行われました。40分の講演後、3グループに分かれて検討し、それぞれのまとめ発表では、「講演をする対象者が示されていなかった」「視覚障害があるが、発表スライドが見えなくても内容がよく理解できた」「専門用語が出てきて、その解説がないことが気になった」などの意見が挙げられ、講演をした東尾さんは、チェックリストにある「全体の流れを頭に入れておく」ことを重視したと述べました。それらの意見を受けて、さらに講演のポイントを精査する作業を行いました。

その後、もう一方で進行中の「講演者派遣リスト(仮)」の作成について、グループワークで話し合いました。文字数が制限される派遣リストでは、疾患の特徴、講演の内容をどの程度入れるのか、また、講演を依頼する人が使いやすくする工夫などが話し合われました。それらの意見を反映した書式を運営委員が作成し、メーリングリストで配布。みなで記入してみようという課題が出され、次回学習会でさらに検討することに決まりました。

今回は初参加者も多く、「講演に対してここまできめ細かく議論しているのかと、とても勉強になった」、また、北陸学習会の参加者からは、「とてもパワフルで学ぶことが多かった。ぜひ、参考にしたい」という感想が述べられました。