<活動レポート>

活動紹介 第36回(2014)

地域でのネットワークを広げ、情報やノウハウを共有し活動を充実させていこうとする、各地での取り組みをレポート

第24回 東北学習会 in 仙台(2014年6月14日)

障害年金など社会福祉制度の活用と課題について学び合う

6月14日、仙台市シルバーセンターにおいて、第24回東北学習会が開催されました。テーマは「現在ある社会資源の活用について〜各自の体験に基づいて」。社会福祉制度や福祉サービス活用の課題について学び合うことを目的に、まず仙台駅前障害年金センター 代表・社会保険労務士の池田清さんが障害年金について講演を行い、それを受けた形でグループワークが行われました。

池田さんは、障害年金の概要や申請についての課題などを説明。障害者手帳を持っていても障害年金を知らない人が多いことや、社会福祉制度を活用するために社会保険労務士が果たす役割が大きいことなどを語りました。

グループ発表では「社会福祉制度を活用するうえで、情報の収集、蓄積、発信などの面でも患者団体は重要な社会資源となり得る」「情報を蓄積するツールとして、会報は重要ではないか」「自治体の広報やホームページ、こうした学習会などを利用して、法律制度の概要を知ろう」「インターネットのメリットとデメリットを認識し、情報の取捨選択については患者団体がサポートしたい」「リーダーが福祉サービスをよく知り、会員を関係機関につないでいくことが大切」「行政の相談窓口を一本化するなど、制度を活用しやすい環境づくりが必要」「VHO-netが窓口として、行政や患者団体をつなぐことはできないか」などの意見や提案が紹介されました。

最後に東北学習会運営委員の阿部一彦さんが「障害年金をはじめ、さまざまな社会制度や福祉サービスがあり、課題もあることが改めて明らかになった。患者団体のリーダーが概要を知って、一人ひとりのニーズに対して的確につなぐことが重要であることもわかった。今回、得られた知識や気づきを次の学習会につなげていきたい」と締めくくりました。障害年金を話のきっかけとして、参加者それぞれが社会福祉制度やその活用にはどのような課題があるのかを考える有意義な機会となったようです。

第7回 四国学習会 in 徳島(2014年7月12・13日)

患者団体への相談事例を通してピアサポートでできること・できないことを整理・検討する

第7回四国学習会が徳島市の「とくぎんトモニプラザ」にて2日間にわたって開催されました。今回は徳島県・高知県の患者団体に寄せられた4つの相談事例を基に「よりよいピアサポートとはなにか」というテーマで進行しました。

各々の事例で相談内容と相談員の対応・課題が提示され、「相談マニアらしき人にどう対応すべきか」「共感、傾聴とともにどこまでアドバイスや見解を述べるべきか」「自宅が事務局の場合、住所をどの範囲まで公開するべきか」など、さまざまな点について討論がなされ、意見を要約したメモをボードに貼り出して、整理・検討が行われました。司会進行役が次々とマイクを回していくことで、全員が積極的に発言し、また、今回は四国大学講師であり臨床心理士の上岡千世さんを招き、専門職の立場から適宜アドバイスを受けることができました。

まとめ発表では、「時間・相談内容に対しての枠組みづくりが大切」「人生相談的な内容はできる限り回避する」「行政・医療・福祉関係などの機関と連携することでより多くの情報を提供できる」などの意見、そして同時に「ピアサポートの限界を知ることも大切」という意見が挙げられました。また、ハローワークからの紹介で相談が来た事例に対して、患者団体が社会資源として認知されている成果だという感想も述べられました。ピアサポートでできること、できないことを確認しながら、基本的なルールをつくり技術を磨きつつ、各団体の特色を出していく。このような方向で、今後も団体の活動と学習会を通して、より良いピアサポートのあり方を探っていこうと結びました。

第30回 関西学習会 in 大阪(2014年7月27日)

網膜色素変性症当事者による模擬講演を通して、講演のポイント集の見直しと活用法について話し合う

第30回関西学習会が、大阪市のたかつガーデンで開催されました。患者・家族による模擬講演を学習会の大きな柱としてきた関西学習会では現在、講演のポイント集を成果物にする活動を行っています。 今回は網膜色素変性症の患者団体「しらさぎアイアイ会」の中尾郁子さんが、一般市民を対象に想定した講演を行いました。網膜色素変性症は進行性の難病で、眼疾患の中で唯一、特定疾患に認定されています。中尾さんは先天性の夜盲症のため、幼い頃から本能的に身を守る知恵を身につけてきました。成人してから網膜色素変性症と診断され患者団体と出会います。同じ疾患のある人たちと励まし合い情報交換を行う中で、「人に頼らなければ生活ができないと卑屈になる時もあったが、今は援助された時、心から感謝できるようになった」という気持ちの変化や、さらに団体役員として視覚障害者のQOL向上のために活動している日常を語りました。

参加者からは、講演冒頭での「盲導犬は何でもしてくれると思っていませんか? 実はとても厳しい訓練を受けているのです」というメッセージが一般の人を話に引き込むとても良い“つかみ”になっていたという意見や、「疾患説明はレジュメを配り、講演では“目が見えない日常生活とはどういうことか”に絞ったことが有効。患者本人の言葉として伝わってきた」「ロービジョンケアなどの専門用語がさらりと語られ説明不足」などの感想が挙げられました。その後、今回の講演もふまえてこれまでのポイント集の見直しと活用方法について細かな検討が重ねられ、次回学習会でさらに話し合うことになりました。

第23回 沖縄学習会 in 沖縄(2014年7月28日)

過去4回の学習会「ピアサポートの成功・失敗事例から学ぶ」の事例集作成について検討を行う

第23回沖縄学習会が那覇市ぶんかテンブス館にて開催されました。今回は、「ピアサポートの成功・失敗事例から学ぶ」というテーマで開催された第18回から計4回の学習会の中で発表・検討された10事例を振り返り、相談員が活用し共有していけるような事例集作成に向けた第一段階の話し合いを行いました。

誰を対象とした事例集にするのか、個人情報が特定されやすい事例では病名を明記するのか、年齢や性別を変えてはどうか、それに対し、全事例統一ではなく内容によって臨機応変に対応していくのが良いのではないかなど、これまでの発表事例の資料を読み解きながら検討していきました。その結果、1事例1シートにまとめ「うまくいった原因」「うまくいかなかった原因」をわかりやすく明記すること、カルテのように枠にはめこんだり箇条書きにしたりするのではなく事例発表者自らが文章化していくこと、専門用語の解説を入れることなどの基本方針が決まりました。そして、12月に行われる次回の1泊2日の拡大学習会までに運営委員がフォーマット案、事例シート案を作成し、そこで客観的に見直し・検討を図ることになりました。アドバイザーとして参加している沖縄国際大学教授で臨床心理士の上田幸彦さんは「学習会に参加できなかった人でも学べるような事例集にしましょう。形にすること、残すことにはとても価値がある」と述べ、より良いピアサポートを目指し、メンバー全員参加での事例集を作っていこうと意気込んでいます。

第29回 関東学習会 in 東京(2014年6月29日)

患者講師としての講演や患者参加型授業に備えて模擬講演会を実施
6月29日、東京のファイザー株式会社本社で、第29回関東学習会が開催されました。近年、医療や教育現場などから「患者さんの生の声が聞きたい」という要望が増えてきていることから、今回の学習会では「当事者が“伝えたいこと”〜魅力ある演者になるために〜」と題して模擬講演会に取り組みました。まず4人の模擬講演と、聴講者が感想やアドバイスを述べるフィードバックを実施。さらに、講演や患者参加型授業を依頼する側の希望や考えを知るために、慶應義塾大学看護医療学部 教授 加藤眞三さんの講演が行われました。
摸擬講演の概要

テーマ 生活の質向上をめざして〜患者が望んだ薬とは
演 者 中枢性尿崩症(CDI)の会 大木里美さん

■想定する対象 製薬企業の社員
中枢性尿崩症の治療薬についての患者と医師の認識のギャップや、薬が承認されるまでの経緯、患者会活動の苦労などを語り、薬は患者が生活の中で使うものであることを訴える内容でした。「患者としての体験や、患者団体でともに活動する仲間への思い、医療者への願いなどが、わかりやすくまとめられていた」「医療者や薬に対する感謝が表されているのが良かった」との感想がありました。

テーマ がんをかかえて生きるとは〜生活者の視点
演 者 東京都立精神保健福祉センター 山谷佳子さん

■想定する対象 病院等のがん相談員
がん患者としての経験、他の患者へのインタビュー結果の紹介、ピアサポートの重要性について、患者を生活者としてとらえてほしいというメッセージなど、患者への理解を促す内容でした。自らの病気について初めて語ったという山谷さんに、「自分の体験を言葉にするだけでも大変だったと思う」「生活実感をふまえた社会への訴えが丁寧に述べられ思いが伝わってきた」との感想がありました。

テーマ CMTについて
演 者 CMT友の会 栗原久雄さん

■想定する対象 看護学生

発症からの経緯や、仲間との出会い、家族への思い、病気になったからこそ経験できることへ積極的に取り組み、病気とともに生きようと考えるようになったことなどを語りました。「スライドなどに頼りすぎず、淡々と語る姿勢に好感がもてる」「予定時間通りの講演でタイムマネージメントとしても良かった」との感想がありました。

テーマ 理解されにくい痛み〜みんなの問題
演 者 NPO法人 線維筋痛症友の会 橋本裕子さん

■想定する対象 看護職
線維筋痛症について理解を促す内容で、随所に看護職へのメッセージを織り込みながら、患者が直面する悩みや医療者とのコミュニケーションの難しさ、チーム医療の必要性などを語りました。参加者からは「聴講者である看護師への感謝や思いがメッセージとして伝わり、またチーム医療に言及されている点も良かった」との感想がありました。

講演を依頼する立場から

「魅力ある演者になるために〜医療系学生の教育者として患者参加型授業でお願いしたいこと」

慶應義塾大学看護医療学部 教授 加藤眞三さん

患者さんの思いやつらさを伝えることより、学生を育てるためという目的意識をもってほしい。そして、生きている患者さんの姿、患者さん自身が感じている物語を紹介してほしい。また、患者さんからの見え方を伝え、同じものを見ても立場によって見え方が違うこと、時に視点の移動が必要であることを感じさせてほしい。 従来の“権威の医療”“脅しの医療”から脱却するためには、医療者だけでなく患者さんも“医療者にお任せ”という姿勢から変わるべき。医療者は助けるだけの存在ではなく、協働作業や連携ができることを患者さんの話によって伝えてほしい。

総 括

全体討論を経て、VHO-netの中央世話人である公益社団法人 埼玉県精神保健福祉協会の高畑隆さんが「患者さんが自分の体験を基に自分の人生を語り、患者団体で仲間の体験を共有し、未来に向かってともに解決法を考え、生活の質を高めていくというプロセスを医療側も求めている」と総括しました。また、横浜市立大学医学部看護学科 教授の松下年子さんから「ご自身の経験や団体の活動を通じて知ったことをメッセージとして伝えてください」とコメントもありました。最後に、初参加したメンバーから「皆さんの話に感動した。今後の参考にしたい」「勇気をもらった」などの感想も述べられ、充実した雰囲気のうちに学習会が終了しました。