<活動レポート>

活動紹介 第35回(2013)

地域でのネットワークを広げ、情報やノウハウを共有し活動を充実させていこうとする、各地での取り組みをレポート

第6回 四国学習会 in 高知(2013年8月24・25日)

看護学生を対象にした講演を全員で検討し、今後は摸擬講演に取り組むことに

第6回四国学習会が、高知県の高知会館にて2日間にわたって開催されました。今回は徳島多発性硬化症友の会 会長の藤井ミユキさんが、「難病と患者会活動」と題して、以前、四国大学・徳島大学の看護学生を対象に行った講演を再演し、それをテーマに話し合うという構成でした。

1日目は藤井さんの講演からスタート。ある朝、突然歩けなくなっていたという発症から、長い期間の心の葛藤を経て、ある本で「生きることは、生きる意味を探すこと」という言葉に出会い、保健所の支援で患者団体を発足したこと、さらに3年前のVHO-netとの出会いから四国学習会設立までの経緯を語りました。その後のワークショップでは、まず講演内容について検討。プレゼンテーションソフトの使い方や枚数について、思いや感情を伝える時は文字ではなく自分の言葉で話し、また学生対象なら映像が多い方が良いのでは、などの意見が出ました。


2日目は、講演のための日頃の準備や、依頼を受けた場合のポイントについて話し合いました。
①主催者側との事前打ち合わせ(対象者、講演に対するニーズ、話す時間など)
②講演内容(日頃から症状の経過を記録しておく、治療や薬の情報の刷新など)
③プレゼンテーションソフトの有効な利用方法
④講演をその後の活動にどう活かしていくか(アンケートの感想など)

そして、今回の学習会を受け、今後、自分の疾患や患者団体の活動を伝えるための模擬講演に取り組んでみてはどうかという提案があり、了承されました。

第21回 九州学習会 in 熊本(2013年8月31日・9月1日)

異業種交流企画第4弾 劇団の主宰者に思いを伝える表現力の手法を学ぶ

第21回九州学習会が、熊本県山鹿市のかんぽの宿 山鹿で拡大学習会として開催されました。

昨年からの取り組みである、“町おこし”“経営者”“男女共同参画”などの視点で患者団体活動を考える異業種交流企画の第4弾。今回は「思いを伝える表現力を身につけよう」をテーマに、「劇団きらら」主宰の池田美樹さんを講師に招き、演劇表現を通して思いを伝える手法やコツを学びました。アイコンタクトを使うワークから始まり、大小、高低、声音、長短、間の5つに分類される声の効果や使い分けの学習、2人1組で1人が絵を見て言葉だけを使って伝え、もう1人がその絵を再現していくワーク、グループで1人1行ずつ詩を朗読しながら、設けられた空白部分に自分の思いや夢を即興で入れていき、詩全体をアレンジしていく作業など、ユニークな試みがなされました。

翌日は3グループに分かれ、前日、そしてこれまでの異業種交流企画の振り返り、今後の九州学習会でやってみたいことなどをテーマにワークショップを行いました。初日のプログラムについて、「自分の話し方の癖を知り、何を伝えたいかを考えることで話し方が変わることを学んだ」「声の使い分けはピアサポートでの相談や医療者との対話にも役立つ」「相手の立場に立ってみることの大切さや伝えることの難しさを再認識した」などの感想が聞かれました。また、4回にわたる異業種交流企画については「違った視点や手法を知ることで、患者団体活動はこうあるべきという考え方が変わった」「学習会の内容と成果を自身の患者団体にしっかりと伝えていきたい」などの意見発表がありました。

第23回 東北学習会 in 岩手(2013年9月7・8日)

“患者の達人”を目指すことをテーマに2日にわたって講演会とグループワークを行う

生きることの根源的な悩みスピリチュアルペインを学ぶ
岩手県一関市の一関文化センターで、第23回東北学習会が、慶應義塾大学看護医療学部 教授の加藤眞三さんを講師に迎えて行われました。テーマは、「患者の達人を目指して〜スピリチュアルペインへの対処を考える〜」。スピリチュアルペインとは、「なぜ私はこんな病気になってしまったのか」「こんな状態でも生きている意味はあるのだろうか」「私が死んでしまったらどうなるのだろう」など、多くの患者が抱えがちな“生きることの根源的な悩み”を指します。こうした悩みについて、じっくりと学び合い、交流を深めようという趣旨で今回は拡大学習会として開催となりました。

1日目の講演で、加藤さんはまずスピリチュアルペインについて語りました。患者が主体的に治療に参加する「肝臓教室」や、VHO-netの中から誕生した慢性病患者同士のグループワーク「慢性病患者ごった煮会」など具体的な例を紹介しながらのわかりやすい講演内容に、参加者は興味深く聴き入りました。講演に続いて「慢性病患者ごった煮会」と同じように参加者が自らの経験や悩みを語り合い、問題や悩みを共有する形式でグループワークが行われ、共通する問題やスピリチュアルペインについての考えなどが話し合われました。

2日目は、加藤さんが「患者の達人になるためのケア〜サーバント・リーダーシップを発揮する〜」をテーマに講演。サーバント・リーダーは、一人が皆を引っ張るのではなく、ニーズを見極め、課題を共有して話し合い、分かち合うリーダーのあり方で、日頃ヘルスケア関連団体の運営や活動に携わっているメンバーにとっては、非常に関心の高い内容となりました。

語り合うことの意義を再確認したグループワーク
最後に2日間のグループワークを総括して発表が行われ、「患者団体だからこそできる役割、患者だからできること、医療者だからできることがある。チームでそれぞれの役割を担っていきたい」「さまざまな立場の人がいて、それぞれの人生を生きていることがわかった。こうしたネットワークを大切にして活動したい」「看護職として、患者さんも医療におけるチームの一人という考え方で取り組みたい」「グループワークで自分の気持ちを話すことで気持ちが解きほぐれることが実感でき、体験発表することでより良くなれると感じた」「今まで受け身であったが、自分からも情報を医療者側に提供していくことが大切だとわかった」との感想や意見が述べられました。

最後に加藤さんは「東日本大震災で東北の方々が助け合う姿を見て、日本が変わるべき方向を教えられた気がした。東北からこうしたネットワークの活動を広めてほしい。また東北の方は我慢強くあまり怒りを表さないが、怒りはとても大切なプロセス。社会全体のためにも、必要な時は怒りを表してほしい」と締めくくりました。今回は岩手県での開催であったため、初めて地元の行政の方や医療福祉関係者、一関市の地域団体が参加し、また青森県や秋田県からの参加もありました。東北学習会が築いてきたネットワークの広がりと、お互いに語り合うことの意義を再確認する学習会となりました。

第10回 東海学習会 in 愛知(2013年9月21・22日)

ピアサポートの議論を通じて患者団体やVHO-netの活動に主体的にかかわっていくことを確認

第10回東海学習会が、愛知県のあいち健康プラザで1泊2日の拡大学習会として開催されました。

まず、今回の講師、VHO-netの世話人でもある認定NPO法人 アンビシャスの照喜名通さんが、VHO-netの 全体概要を説明。その後「ピアサポート」をテーマに、個人、患者団体としてのピアサポート活動、VHO-netとのかかわり(学習会への参加動機や成果)の3つの視点を提示し、3グループに分かれてのワークショップが行われました。

翌日のまとめ発表では、会員同士の生の声を通して情報や思いを共有することができ不安が軽減するというピアサポートのメリットが挙げられたほか、総会をインターネット会議にすることで経費を節減するなどし、運営を工夫することで親睦旅行などのピアサポートが実現した事例などが発表されました。

VHO-netとのかかわりについては、「学習会や年1回のワークショップでは団体のリーダーが集まるので、自分の会では話しにくいことも相談でき、さまざまな情報や運営の手法が学べる」「人とのつながりが広がり、それらを自分の団体に持ち帰り会員に還元できるメリットがある」などの発表がありました。照喜名さんは「自分がいる立ち位置を再確認し、東海学習会を通じてリーダーが共通して持っている課題を見つけ主体的にかかわっていきましょう」と語りました。参加者からは「他団体の活動や視点の違いがよくわかった」「VHO-netの目的や活動が明確に心に落ちた」などの感想が聞かれました。

第28回 関東学習会 in 東京(2013年10月13日)

薬剤師の役割や、患者団体の災害対策などそれぞれの多彩な活動内容を知り、課題を共有

第28回関東学習会が、東京のファイザー株式会社本社で開催されました。参加者が自らの活動や団体の紹介、それぞれのピアサポート活動について発表する試みを続けている関東学習会。今回はまず、NPO法人 睡眠時無呼吸症候群ネットワークの理事長で薬剤師でもある中島慶八郎さんが、薬剤師の職務について発表を行いました。中島さんは、病気や障がいのある人にとってかかわりが深い薬剤師について、その果たす役割や医療の中での課題などを説明。薬剤師について詳しく知るのは初めてという参加者が多く、発表後は活発な質疑応答が行われ、今回の発表をきっかけにもっと医療者の仕事や役割について学びたい、という声もありました。

次に、NPO法人 生と死を考える会の中里和弘さんが発表しました。この団体は、身近な人と死別した人が悲しみを分かち合って支え合い、死を考えるための開かれた場づくりを目指して設立されたもの。中里さんは、日頃の活動の様子を語るとともに、問題提起として、多くの団体にも共通する課題である会員の自然退会にどのような対応をすべきか、他の団体の取り組みなどを知りたいと語りました。

最後に、中枢性尿崩症の会 副代表の大木里美さんが「できることから始めよう、私たちの災害対策」をテーマに、2013年3月17日に行った「間脳下垂体疾患の災害対策を考える講演会」について発表しました。大木さんは、希少難病の患者団体が災害対策に取り組むために「ピアサポートを原点に、各自・各団体が身の回りのできることから始めていくべきではないか」と語り、またVHO-netのようなネットワークの必要性を訴えました。

3人の発表を受けてのグループ討論では、全国膠原病友の会の『災害手帳』など、各団体の災害対策について取り組みを紹介し合い、患者団体同士のネットワークの必要性、福祉避難所の重要性などについて討議。全体討論では、関東学習会として、来年も多彩なテーマで発表し合い課題を共有するこの試みを続けていくことを確認して学習会を終えました。

第29回 関西学習会 in 大阪(2013年11月30日)

教育関係者を対象に想定した摸擬講演と今後の学習会での取り組みについての話し合い

第29回関西学習会が、大阪市のたかつガーデンで開催されました。

午前中はNPO法人 発達障害をもつ大人の会 代表の広野ゆいさんが、教育に携わる人を対象に想定し「大人の発達障害〜現状と課題〜」と題した摸擬講演を行いました。注意欠陥・多動性障害や自閉症スペクトラム障害などの主な症状例に始まり、大人になってからのうつやパニック障害、依存症などの二次障害を理解する必要性、言われてショックな言葉の紹介、自己回復の場としてのセルフヘルプグループでのピアサポートが果たす役割や効果などが、当事者である広野さん自身の体験を交えて語られました。質疑応答ではまず、関西学習会がまとめた講演のポイントに基づいて評価し、「引き込まれるような話し方で聞きやすかった」「教育者が対象なので広野さん親子の体験談があった方が良いのでは」「理解してもらえないつらさを語る時はもう少し感情を込めてもいいのでは」「二次障害への適切な対応は?」など感想や疑問を出し合い、検討を行いました。

午後からは第13回ヘルスケア関連団体ワークショップに参加したメンバーからの報告の後、自分の団体や関西学習会、VHO-netで今後取り組んでいきたいことなどが話し合われました。電話やメールでの相談で使っているフォーマットがあれば持ち寄り参考にしたい、受けた相談の蓄積・整理の仕方を話し合いたい、後継者の育て方を学習会のテーマとして取り上げてほしいなどの意見が出されました。

第21回 北陸学習会 in 富山(2013年12月7日)

団体のリーダーとして、意見をまとめ発表するトレーニングを実施

富山県の高岡市生涯学習センターにおいて、第21回北陸学習会が「『つたえよう』〜表現力・発表力の向上〜」をテーマに開催されました。今回の学習会は、社会に信頼されるヘルスケア関連団体となるために、伝える力を高めることを目的として企画されたものです。

学習会ではまず、前回取り組んだ災害トレーニングを題材として、「災害トレーニングを受けて変わったこと」「所属団体や自分自身で実践したこと」についてグループワークを行い、グループで話し合った内容を代表者が発表。そのまとめ方や発表方法について全員で検討しました。「医療者や医学生は当事者の話や意見を求めている」「発信力や発表力は重要」「リーダーとして会員や参加者の意見をまとめて伝えるスキルを磨きたい」「発信力を高めて、自治体などから信頼され存在感のある患者団体を目指そう」、また「取材などで意見やコメントを求められた時のために、わかりやすく効果的な伝え方を考えよう」「自分の経験なども交えてわかりやすく話すと印象的な発表ができる」「自分なりの持ち味も大切にしよう」などの意見や提案がありました。また、看護学生を対象として石川県内の専門学校等で講演を行っている参加者が活動の様子を紹介。全体討論を経て、個々のメンバーの発表する力や発信力を磨くため、次回からは模擬講演にも取り組むことになりました。

最後に、リーダー同士のピアサポートの場、それぞれの団体の成長を目指していく場として北陸学習会を発展させていこうという思いを確認して、2013年の活動を終えました。富山県内でも石川県に近い高岡市での開催で、石川県や福井県からの参加者もあり、北陸学習会のネットワークが広がってきたことが感じられる集いとなりました。