<活動レポート>

活動紹介 第33回(2013)

地域でのネットワークを広げ、情報やノウハウを共有し活動を充実させていこうとする、各地での取り組みをレポート

第26回 関東学習会 in 東京(2013年2月17日)

ピアサポート活動の紹介を中心に参加者一人ひとりが主体的に参加する学習会に

それぞれの団体の活動の様子を3人が発表

2月17日、東京新宿のファイザー株式会社本社で第26回関東学習会が開催されました。関東学習会では、毎回、参加者が所属する団体の活動やピアサポートについて発表する取り組みを続けており、今回も3人が発表を行いました。

まず、ポリオの会の苅部秀之さんが活動の様子を紹介しました。ポリオの会は、ポストポリオの実態調査や、不活化ワクチンの普及に向けての活動、理学療法士を目指す学生たちの実習研修への模擬患者としての協力など、積極的に多彩な活動を行っています。苅部さんは「ピアサポートとしては、相談活動のほか、障害年金について社会保険労務士との勉強会を行うなど、幅広い観点から活動に取り組んでいる」と述べました。

次に、肺高血圧症研究会の重藤啓子さんが、「患者と医師から学ぶ看護師さん向けセミナー」について発表しました。同会では、患者と看護師とのコミュニケーションが不足していると感じたことから、看護師を対象とするセミナーを企画したそうです。重藤さんは「看護師さんは患者への理解不足の傾向があり、患者側は発信不足であるので、相互理解を深める場が必要」と語りました。また、「医療者を含めて、横の関係を作ることは広い意味でのピアの関係ではないか」と述べ、今後もこの活動を続けていくと結びました。

最後に、日本オストミー協会の渡喜美代さんが、ピアサポーターとしての研修や、オストミービジター制度、各地のがんサロンなどのピアサポート活動を紹介しました。渡さんは、ピアサポートについて「悩みの感じ方や受け止め方は人それぞれなので、自分の経験からわかると考えるのではなく、相手の痛みや苦しみを聞き、オリジナルな痛みを尊重することが重要」と語り、また、「傾聴からエンパワーメントアプローチに移行するタイミングが難しい」という自身の心境を述べました。

今後は、防災対策にも取り組むことに

グループワークでは、発表の感想やピアサポートについて活発な話し合いが行われました。グループ発表では、「ピアサポートを行っていることが生きがいとなっており、自分で自分をサポートしている」「この場そのものが私たちのピアサポートになっている」「ピアサポートの事例集を整理していきたい」「それぞれが抱えている問題が違うのでジレンマがある」「傾聴からエンパワーメントを特に意識する必要はないのではないか。相手も言語化することで力を得ているのではないか」「受容しないと発信できない」「誰でも来ることのできるオープンな場と、プライバシーが守られるクローズの場の両方を作ることが大切」などの意見が出されました。 全体討論では防災対策にも取り組みたいという提案があり、次回は各団体で作成している災害手帳などについて話し合うことも決定しました。また、今回は司会進行を運営委員以外の方が担当し、全員が主体的に参加するという、関東学習会の特徴が感じられる場となりました。今後も司会や発表を持ち回りで担当し、メンバーそれぞれの成長につないでいくことを確認して、第26回関東学習会は終了しました。

第26回 関西学習会 in 大阪(2013年1月14日)

関西学習会をより魅力的にするための方針について話し合う

第26回関西学習会が、大阪市の難波市民学習センターで開催されました。2013年度初の学習会ということもあり、テーマを「関西学習会をより魅力的なものにするために」と設定し、昨年の振り返りや、今年度の計画や課題について全員で話し合いが行われました。

まず、関西学習会発足以来、継続して行っている「患者の声を医学教育に組み込む」ための模擬講演で培った“講演のポイント”を、これまでの経験をもとに発表。聞きやすい速度、長さ、表情、マイクの扱い方、対話や質問の交え方などの話し方のテクニックや、「現場で思いついたことは話さない」「情報は正確に、引用は明確に」などといった講演内容の注意点を確認しました。そして、講演で注意する項目をポイント集としてまとめ、評価基準とし、摸擬講演の精度を高めていくことになりました。

次に、学習会への参加団体数が横ばい状態という課題について、新規参加団体を増やすための検討に入りました。「全国組織の患者団体については、本部に声をかけて参加を促す」「現在参加している団体のプロフィールを要約し、学習会全体の“顔”を見えやすくする」「医療関係者の参加が少ないので積極的にアプローチする」などの意見が出され、次につなげた一方で、果たして参加団体を無理に増やすことが重要なのか、ということについても話し合いが行われました。情報交換の場では、各団体のイベント紹介などに加え、2013年4月に施行された障害者総合支援法のレクチャーなども行われました。

第27回 関西学習会 in 大阪(2013年4月21日)

模擬講演を通して講演技術のポイント集作成に向けて検討を行う

第27回関西学習会が、大阪市の「たかつガーデン」で開催されました。

今回は「患者の声を医学教育に組み込む」ための模擬講演を、日本ハンチントン病ネットワークの中井伴子さんが、対象を医療従事者と想定して行いました。この病気は遺伝性で進行性の神経難病であり、20年前に原因遺伝子が見つかりながら未だに治療法・予防法がないこと、重篤な症状や、身内で三世代が同時に発症するケースがあることなど、疾患とそれを取り巻く家族の心身面への影響が語られました。その後、患者団体の活動に移り、電話相談の事例、当事者団体の存在意義、VHO-netという疾患の垣根を超えた団体のリーダー同士の交流も紹介されました。

中井さんは、2004年に発足した関西学習会で初めて摸擬講演を経験して以来、教育機関や学会などさまざまな場で講演を続けています。講演の様子を撮影してもらい、手を動かしすぎる癖を直すなど講演テクニックを磨いてきました。講演後には、「アイコンタクトをとりながらの話し方で、言葉が心に届いた」という感想が述べられた一方で、慣れてきたのか最近は泣くことが少なくなったという中井さんに対し、「泣かずに話せるのはいいこと。でも見えない涙が見えた」という声が寄せられたほか、「医療者対象なので淡々とした語りが良かった。一般人が対象なら緩急、抑揚をつけた方がいい」など、講演のポイント集作成を目指している関西学習会ならではのきめ細やかな検討がなされました。

初参加者からは、「講演をする機会もあるが自分だけで納得していた。いろいろな立場の人が検討してくれてバージョンアップしていける、こんな場があることが素晴らしい」という感想が寄せられました。

第5回 四国学習会 in 高知(2013年5月19日)

ピアサポートの相談事例を発表し全員での検討を通じて成功例や課題を共有する

第5回四国学習会が高知県の高知市文化プラザ「かるぽーと」にて開催されました。

今回はテーマを「ピアサポート事例検討会」とし、日本リウマチ友の会 徳島・高知各支部、全国膠原病友の会 高知県支部、徳島多発性硬化症友の会の4団体からそれぞれ1〜2件の相談事例と支援内容が発表され、それぞれについて質疑応答がなされました。医師への不満などに対して、人間同士の関係と、医師と患者という2つの信頼関係を築く大切さ、面談を1人ではなく2人で受けたことで思わぬ打開策を見つけることができたこと、次にまた気軽に相談してこられるよう、電話を切る際の話法に注意すると良いなど、いろいろな気づきがあり、上手くいった支援内容を共有することができました。

その後、2グループに分かれてワークショップを行いました。まとめの発表では、「ピアサポートは人と人をつなぎ、人と知識をつなぐ」「支援者は広い視野で専門的な知識を常に勉強するように心がけよう」といった意見が挙がりました。また、“専門医を紹介してほしい”という相談に絞って議論を行ったグループでは、「患者団体は医師を紹介する団体ではない」「医師は患者本人の選択に任せる」「患者団体の顧問医師に事前に話を通してから紹介する」など、さまざまな意見が出ました。さらに、会員以外の人に情報を提供するか、しないか、それぞれの団体の方針についても話し合いを行ったと発表がありました。

学習会の立ち上がっていない広島、岡山からも参加があり、グラウンドルールを守っての積極的な発言など、回を重ねるごとに四国学習会が成長してきていることを感じました。

第21回 沖縄学習会 in 沖縄(2013年3月18日)

ピアサポートの失敗事例について
臨床心理士を交えて対応策を全員で検討する

第21回沖縄学習会が那覇市NPO支援センターにて開催されました。沖縄学習会が継続して行っているテーマ「ピアサポートの事例から学ぶ」の中から、今回は失敗事例を取り上げ、沖縄国際大学教授で臨床心理士の上田幸彦さんのアドバイスを受けながら、全員で検討を行いました。

まず、全国膠原病友の会の阿波連のり子さんが、病気の相談ではなくプライベートな中傷の電話が入った事例を発表。個人情報を公開することのリスクと対策について話し合いました。次に、認定NPO法人 アンビシャスの照喜名通さんから、傾聴が基本でありながら、特に同じ病気の場合、自分が話す時間の方が長くなってしまうことがあるという事例が述べられました。同じ失敗をさせたくない思いから過剰なアドバイスをしている、自身のおしゃべりな性格も作用している、という気づきに対し、上田さんからは、「カウンセラーのその時の心理状況によって、お説教をしたり責めたくなったりするような『逆転移』というものが起こることもある。つらい思いを聞いてほしいのか、病気についての情報がほしいのか、まず相手が何を求めているかの見極めが大切。実際に行動を起こせるような情報を一つでもいいから相手に伝え、相談を継続させていけば良いのではないか」という助言がありました。また、質疑応答の中では、病気や制度の基本情報は冊子にまとめ、対応をスマート化しているという他団体の事例も紹介されました。

同じテーマで回を重ねてきたことで、参加者のピアサポートへの認識が深くなっているという印象を受けた学習会でした。

第19回 九州学習会 in 佐賀(2013年1月19日)

「がんサロン」の活動紹介からピアサポートの意義や未来について語り合う

「ピアサポートの未来」をテーマに、第19回九州学習会が佐賀県難病相談・支援センターにて開催されました。

まず、2012年に発足した「がんサロンネットワーク熊本」の堀田めぐみさんがミニ講演を実施。がんサロンは、がん患者、家族、支援者(一般・企業・医療機関)が自由に集まり、語り合い、情報交換できる場として誕生しました。現在、熊本県内の22ヶ所に開設され、今後もさらに増加していく予定です。病院内、福祉センター、個人宅と場所もさまざまで、運営の組織化を一切行っていません。どのサロンにも参加でき、お互いに交流することが可能です。がん体験者・家族の語りが、人を支える力になっていると、ピアサポート活動を紹介しました。

その後、グループワークを実施。まず、各団体が行っているピアサポート活動を抽出し、それらを「個人」「会の内部」「社会」の3つに分類して、そこからピアサポートの意義や課題について議論しました。「がんサロンのように、必要だからこそ生まれ、広がっていくボトムアップのスタイルに感銘を受けた」「疾患が違っても共に時を過ごすことがピアサポートだということを共有できた」「患者体験を話すことは、当事者同士のピアサポートにとどまらない。家族、知人、地域へと多くの人に病気を理解してもらう啓発手段にもなり、行政も患者の声を取り入れた施策につなげていけるのではないか」などの発表がありました。

さまざまな事例を知り、気づきがあり、ピアサポートの可能性を実感した学習会となりました。

第20回 九州学習会 in 福岡(2013年 4月20日)

男女共同参画の視点でヘルスケア関連団体の活動をみてみよう

第20回九州学習会が福岡市のクローバープラザで開催されました。今回のテーマは「男女共同参画の視点でヘルスケア関連団体を見てみよう」です。

まず、くまもとぱれっとの陶山えつ子さんが、男女共同参画社会の概要について講演を行いました。法律にみる女性差別や、男性が生きづらい社会について、男女共同参画啓発の手法といった内容に続けて、進化する患者団体の活動として、自分たちの主張だけでなく協調性を持ち、男女がお互いを認める社会づくりのお手本になろう、患者団体だけでなく医療関係、企業、教育団体などさまざまな団体とかかわりを持ち、団体のリーダーとしての自分を磨いていこうと結びました。

そして、講演を受けて4グループに分かれてワークショップが行われました。発表では、「女性会員が多いのに男性が代表になっているのには違和感がある」「これまでは男性を立てるのが良いことと思っていた」「活動が女性(母親)に偏りがちなため、行事では男性(父親)が参加したくなるようなテーマ・日時・場所を設定してみる」「会の活動はお互いにできることを理解して役割分担していきたい」「医療講演会のプログラムに、男女共同参画をお手本にした“認め合う”というテーマを入れてみようと思う」など、さまざまな感想が述べられました。

性別で判断せず人として認める、男性・女性もひとつの個性として個人差を理解する、そして「あたりまえだ」と思っていることは、本当にあたりまえなのか疑問を持つことを忘れない、など、個人の考え方や患者団体の運営とあり方について、異なる視点から考えをめぐらせる学習会となりました。