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美馬 有規子 さん 竹の子の会(プラダー・ウィリー症候群児・者 親の会)近畿支部長

プラダー・ウィリー症候群は、15番染色体の異常によりさまざまな症状が現れ、発生頻度は1万人〜1万5,000人に1人。過食が代表的な症状で、常に空腹状態を感じるために「食」に関するトラブル(盗食、拾い食いなど)が多く、社会生活を送るためには周囲の理解と協力が必要。年齢ごとに症状が異なり、個人差も大きい。小児慢性特定疾病のひとつ。

プラダー・ウィリー症候群だけを語るのではなく同じ共通項での話し合いを提案する

竹の子の会はプラダー・ウィリー症候群(以下、PWS)の子ども、大人とその親の会で、患者と家族相互のつながりを通じて、お互いに生きやすく、生活がしやすいよう支え合いをしていくことを目的に、必要があれば行政への働きかけや、医療者に協力していただく活動を行っています。

患者講師のきっかけは、15年ほど前に地域の知的障がい児の親の会の方が、わが家の子育てを見聞きし、いろいろなヒントがありそうなので話してほしいという依頼を受けたことでした。行政の方も来られ、20人ほどの前で約30分、講演しました。その後の経験から、「PWSの子どもの話を聞いてください」では疾患自体が希少なので、なかなか門戸は開かない。そこで、PWSは知的障がいも伴うので、たとえば、「自閉傾向やアスペルガー症候群の子どもたちとも共通点があるので、参考になるのでは」と言うと受け入れられやすいということがわかりました。疾病の違いを超えて、お互いの共通項で話し合い、支援の仕方を考えるという提案です。ある意味、VHO-netと似ているところがあります。

講演を聞いた人が、ほかの人に伝えやすい、印象に残る言葉を選ぶ

障がい児・者の親を含めた一般の方を対象とした、10分や15分の短時間での講演が多いですね。大学での人権フェスティバルに、うちのPWSの娘のバンドが出演するので、「お母さん、ちょうどいいから10分、しゃべりなさい」と前日に突然言われたり、娘が出演するライブハウスでの休憩時間に、3日間連続でお話ししたりしたこともあります。PWSの患者は、「食べ物を取り出さないように家の冷蔵庫には鍵がかかっている」など、思わぬエピソードをたくさんもっているので、笑いながら、涙をふきながら聞いてくれます。「がんばれ!」と声がかかったり。ノリが大阪ですよね(笑)。

講演の中で、大部分の方が初めてこの病名を聞き、こんな子どもたちが社会で生きているということを知ります。そこで、食に関する問題行動などの具体例を挙げ、全体としてどういう支援が必要かをお話しします。すると、「そういう子どもを見たら手伝えるようにする」、障がい者施設で働く人からは「PWSの子どもが入所するかもしれないから、スタッフに伝えていく」など、反応がダイレクトに伝わってきます。

だから、私の話を聞いてくれた人が、次のだれかに伝えやすい、印象に残る言葉を選んでいます。たとえば、「この子どもたちが生きていく命を支えているのがみなさんです」「社会の人たちみながこの子たちを生かしてくれている」と。

地域のイベントなどでの講演を通して啓発活動を続けていきたい

講演原稿は15分、30分、45分の内容で、ある程度作り込んでいます。その中で、たとえば10分間与えられたら内容を取捨選択していきます。主題、副題、まとめ、振り返りまでレジュメをしっかりと作ります。ここは同じことを言っているので別の表現はないか、といったチェックをし、自分が伝えたいことを、さらに資料にあたりながら文章にしていきます。

20人くらいの小人数の場合は、まず興味がありそうな反応を示してくれた1〜2人を見つけ、その方と目線を合わせて話しかけるようにしています。そうすることで講演後に、もう少し詳しく聞きたいと言ってくれることも、ままあります。

私は声が大きいので、小人数でマイクを外して地声で話す方が楽な場合は、そうしています。自然と早口になるので、前半のこの部分は走っておいて、後半はゆっくりとなど、話すスピードを常に意識するようにしています。

学会などでの講演は、会長や副会長が行っています。私はこれからも地域のコミュニティで、イベントや勉強会をカバーする講演を大切にし、啓発活動を続けていきたいと思っています。

伝えるためのコツ

●講演時間に合わせた原稿を作り込んでおく
●講演を聞いた人がほかの人に伝えやすい言葉を選ぶ
●興味を示してくれた人を見つけその人と目線を合わせて話す
●話すスピードを常に意識する