<患者の力>

患者の力 連載準備回

今、当事者やヘルスケア関連団体のリーダーがもつべき「患者の力」とは?病気になっても、人生をより良く生き抜く「患者の力」を学ぶ連載が始まります

医療の発展に加え、医療制度や福祉制度が刻々と変化していく中で、病気や障がいのある人が広い視野で前向きな判断をして行動するためには、情報を選び取り使いこなす力や、病気や困難と向き合い、医療者とうまくかかわる力が求められます。そこで、『患者の力 患者学で見つけた医療の新しい姿』などの著書もある慶應義塾大学の加藤眞三先生に 「患者の力」について次回から連載をお願いしました。今回は連載に先立ち、お話を伺いました。

加藤 眞三 氏 プロフィール

1980年慶應義塾大学医学部卒業。
1985年同大学大学院医学研究科修了、医学博士。1985〜1988年、米国ニューヨーク市立大学マウントサイナイ医学部研究員。その後、都立広尾病院内科医長、慶應義塾大学医学部内科専任講師(消化器内科)を経て、現在、慶應義塾大学看護医療学部教授(慢性期病態学、終末期病態学担当)。

■著 書

『患者の力 患者学で見つけた医療の新しい姿』(春秋社 2014年)
『患者の生き方 よりよい医療と人生の「患者学」のすすめ』(春秋社 2004年)

病気と向き合い、医療者とより良い関係を築くために、患者にも力が必要であるとの認識は広まっています。しかし、情報化社会の中で、必要な情報を取捨選択し、視野や意識を広げていく手立てが具体的にわからないという声も多いようです。

現代は、時代が変わろうとする大転換期です。医療にも構造的な変化が起こりつつあり、多くの医療者も「患者と医療者の関係性」を変えていくべきであると予感しています。医療者と患者がパートナーシップを築き、恊働作業として治療に取り組む「コンコーダンス医療」という言葉も使われるようになりました。

医療が変わろうとしている今、患者も医療者に“お任せ”ではなく、主体的に治療に取り組み、患者として有効に生きるという発想が必要です。ですから、新しい連載では、病気になっても後悔しない生き方をするために、治療や療養の選択肢の多様性を理解し、だまされず、自分を偽らず、自分も選択や決定に参加する医療、新しい医療の文化創りについてメッセージを発信したいと考えています。

ヘルスケア関連団体のリーダーにとっては、自らが患者として力をつけるとともに、それをいかにほかのメンバーや、団体に属していない人たちにも広げていくかということも課題です。

私は、患者さんたちが、時代の変化をとらえながら共通の目標をもって集まり、発信していけば、社会をともに変えることができ、真の患者中心の医療が実現すると考えてVHO-netにも参加してきました。その中で先駆的な活動に取り組む、イノベーター(革新者)的な患者さんたちと出会い、“患者のもつ大きなパワー”を医療の変革にもっと活用するべきだと考えるようになり、『患者の力 患者学で見つけた医療の新しい姿』を執筆しました。

しかし、ムーブメントを起こすイノベーターになれる人は限られており、またイノベーターだけでは変革は実現しません。ムーブメントを速やかに取り入れるアーリーアダプター(初期採用者)がイノベーターに協力し、ともに活動することが必要です。私は医療の変革を確実にするためには、アーリーアダプターへの働きかけが必要だと考えるようになりました。

アーリーアダプターになり得る方が多いと考えられる団体リーダーのみなさんに今回の連載でメッセージを伝えられることは、とても良いチャンスだととらえています。読者のみなさんからのフィードバックも期待しながら、新しい時代の患者の力を活かす知恵や、新しい医療の文化について、ともに考えていきたいと思います。

連載予定内容
●医療者との関係のもち方
 (医師や医療機関の選び方・医師との協働や 対話・医師や病院を変えることなど)
●医療情報との付き合い方
 (情報を吟味する・論点を知る・医療情報の見 分け方など)
●自分自身の生き方を医療に反映させる
 (できること、できないことの見分け方・患者 同士の連帯など)