<元気の泉>

リレーエッセイ/第2回
出会いと元気をくれる、自然のなかの〈山の家〉

(社)呆け老人をかかえる家族の会 本部理事・富山県支部事務局長 勝田 登志子

私は富山市内に住んでいますが、車で1時間ほどの新潟県との県境に〈山の家〉を持っています。ここは夫の亡くなった両親が住んでいた家で、築150年くらいの茅葺きの民家。廃屋に近い状態だったものを手直しし、囲炉裏もつくって、土日になると出かけていきます。お祭りには親戚が集まり、少しですが田んぼや畑もあるので、5月の連休には孫たちが田植えにやってきます。野菜を作ったり山菜採りをしたり。そういう、人が生きていく原点のようなことやりたいなと最近、強く思うようになりました。

痴呆のお年寄りの介護をしている方々の電話相談を、富山県支部の立ち上げ以来23年間、続けてきました。昼は仕事があるので私は自宅で夜間専門。電話をかけてくる方たちは、介護そのものよりも自分のことを誰かにわかってもらいたいのです。私はただただ聴いているだけなのですが、聴いていると相手の声がだんだん、明るくなってくるのがわかるのです。それが一番うれしい。私が逆に元気をもらっているのかもしれません。

相談者は女性が圧倒的に多く、ご主人の無理解に悩んでいます。未だに「お前が介護するのが当たり前だろ」というのが現状。私はそんな方に「家出のススメ」をしています。「2、3日じゃなく1週間くらい出ないとありがたみがわからないよ」って。でも長く家出するにはお金もかかるし話し相手もいない。家出を勧める以上は受け入れ場所がないとだめだと思いました。〈山の家〉をつくったのは、そういう方たちに「いつでも使って」という想いからなのです。私は今年、定年を迎えます。時間にゆとりができるので、電話1本くれれば私もいっしょに行けるようにと考えています。私は人が好き。人がいっぱい集まってくるとうれしくて元気がわいてきます。出会いは財産。〈山の家〉がこれから、いろんな人が集い出会える場所になればと思っています。