<クローズアップ>

全国筋無力症友の会

事務局長 北村 正樹 氏

全国筋無力症友の会は、重症筋無力症患者・家族の励まし合いと情報交換、医療の向上と福祉増進のために、1971年に設立されました。2012年に結成40周年記念大会の開催を控えた、歴史ある患者団体です。全国に27の支部をもち、相談事業や後継者育成にも積極的に取り組んでいます。京都市のNPO法人京都難病連内にある事務局で、事務局長の北村正樹さんにお話を伺いました。

活動の状況

重症筋無力症は、眼症状から全身の筋力低下など症状に個人差のある特定疾患

重症筋無力症は、神経と筋肉の接合部に異常が起こる病気で、筋肉の収縮力が低下し、疲れやすくなったり、筋肉に力が入らなくなったりする自己免疫疾患です。最初に現れる症状のうち最も多いものに、まぶたが下がる、物が二重に見えるなどの眼症状が挙げられます。眼症状だけの場合もあれば、咀嚼障がい、嚥下障がい、喋りにくくなる構音障がい、あるいは全身の筋力低下など、症状の現れ方や程度に大きな個人差があることを特徴とします。また、急速に病状が悪化し、呼吸困難に陥って、命の危険にさらされる場合もあります。

日本での患者数は年々増加傾向にあり、2009年の調査では、17000人を超えました。発症年齢は3〜5歳の幼児期、女性の思春期、近年は男性の高齢での発症が目立ちます。

神経内科の専門ですが、眼症状から現れるため眼科を受診し、眼科医が専門知識をもたない場合には、診断がつくまで1年近くかかってしまうケースも少なくありません。

40年の歩みの中で全国各地に支部が誕生、支部ごとの役割分担も進む

全国筋無力症友の会(以下、友の会)は、1971年、東京と大阪の患者・医療者20数名によって結成されました。当時は治療方法が確立されておらず、4人に1人は呼吸筋麻痺で命を落とす重篤な疾患でした。翌72年、国はスモン病、ALS、ベーチェット病、重症筋無力症の4疾患を特定疾患に認定。以降、重症筋無力症について、さまざまな研究がなされるようになりました。依然として原因は解明されないものの、治療方法や製薬開発は進み、近年では日常生活をほぼ支障なく送ることのできる患者が増えました。しかし、どの治療方法でも効果を得られない、ステロイド剤の長期服用などで副作用に苦しんでいる患者もいまだに多くいるのが現状です。

友の会では、発足時から医療講演会の開催、相談活動、機関誌による情報提供を通じて、患者・家族の交流、国への陳情活動を続けてきました。北海道支部を皮切りに、2011年12月には沖縄支部が結成され、現在、全国27都道府県に広がっています。

40年の歩みには紆余曲折がありました。発足当初は東京にあった事務局が京都に移設され、相談事業は京都支部、機関誌の発行は北海道支部、厚生労働省への陳情は東京支部が取りまとめるなど、役割分担されています。より多くの人が友の会の活動に積極的にかかわるようになったのは、とてもよいことだと思っています。

若い世代を中心に、本部や支部の後継者を育てるためのセミナーを実施

2009年から、次世代のリーダー育成のセミナーを年1回、1泊2日で開催しています。友の会の人材育成を主目的にしたもので、全国の支部に、できるだけ若い世代の参加を呼びかけています。コミュニケーション技術やピアサポートのレベルアップ、友の会や難病対策の歴史と今後の動向を学ぶという研修内容です。本部や支部の後継者を早い段階から育成し、互いの交流を深めていくことは、組織の強化だけでなく、新しい風を吹かせることにもつながります。早くも効果が現れつつあり、今後もセミナー活動を充実させていきたいと考えています。

相談事業は京都の事務局が担当しています。京都難病連内にあるため、月曜から金曜まで必ず電話がつながり、全国から相談が寄せられます。社会福祉士や看護士が相談員として配置され、月2回の金曜日には医師が来所して、予約制での相談も行っています。その医師が神経内科医で重症筋無力症の専門ということもあり、友の会にとって非常に心強い存在です。

ピアサポート力の強化と専門医を増やすための基金創設を目指して

これからの取り組みとして、ピアサポート力を全支部でレベルアップしていきたいと考えています。ピアサポートという言葉が定着してきたのはここ数年のことですが、患者同士の情報交換や励まし合いは、思えば昔から、友の会の大きな役割のひとつでした。ただ、かつては患者としてさまざまな経験を積んだ方が大勢だったのに比べ、今は場数を踏めといってもそうはいきません。病気自体、治療方法も変わりましたし、この時代に合った、科学的で体系化されたピアサポート術を身につけていくことが大切だと思います。同じ患者同士でのピアサポートは最後の砦のようなもの。そこで相談をされた方が傷つくようなことなど、あってはなりません。それは医療者に言われるよりもダメージが大きいと思いますから。

また、日々の電話相談を受けていると、全国的に病気の診断が遅くなっていると痛感します。これは専門医が、特に地方で減っていることが原因だと考えられます。友の会では今後、専門医を増やしていくために基金を創設し、研究の助成金を出していく構想を練っています。すでに実施している患者団体もあります。情報やノウハウをキャッチしながら、実現に向かって進んでいきたいと考えています。

組織の概要

全国筋無力症友の会
■設 立 1971年
■会員数 1280名
■支 部 全国都道府県27支部

主な活動

全国重症筋無力症フォーラム・交流会の開催(年1回)/機関誌『舫』の発行(年2回)/小児重症筋無力症患者・家族交流会の開催/相談事業(電話・面談)/リーダー育成のためのセミナーの開催/ブロック交流会の開催/ホームページによる情報発信/(社)日本難病・疾病団体協議会(JPA)の活動への積極参加主な活動