<ココロとカラダの健康コラム>

最終回
アサーティブな生き方のすすめ

臨床心理士 黒岩 淑子
佐賀大学保健管理センター(職員カウンセラー)
佐賀公共職業安定所(心理カウンセラー)
佐賀県スクールカウンセラー
アサーティブな生き方のすすめ

これまで、ストレスが心や体に与える影響や、ストレスへの対処法としてのリラクセーションについてお伝えしてきましたが、このシリーズも今回が最終回となります。

そこで、今回はストレスを少なくする方法のひとつとして、多民族国家のアメリカのエンパワーメント運動から広まってきたアサーションという自己表現法をお伝えしたいと思います。 対人関係に関しての悩みは、一生なくなることはないと思われますが、その中でも人とのコミュニケーションの取り方が難しいと感じている人は多いことでしょう。

自分の思いを正直に伝えたことでトラブルが発生したりすると、もう言うまいと思ったりしますよね(=非主張的自己表現)。そのような非主張的な態度で自分の気持ちを抑圧することが続くとストレスがたまり、ついには、「堪忍袋の緒が切れ」、感情を爆発させてしまい、かえって気まずくなってしまうことがあります。

反対に自分の気持ちばかり主張している人は、自分は楽ですが、まわりの人はきつい思いをしていて、人間関係がぎくしゃくしてきます(=攻撃的自己表現)。

そこで、自分の主張も相手の考えも尊重しながらコミュニケーションを取る方法(アサーティブな自己表現)として、「アサーション」という方法があります。

意見が食い違う時は、自分の意見だけを100%通そうと思わずに、相手の要求も取り入れ50%くらい自分の主張を受け入れてもらえばいいと思っていると、相手が譲歩してくれたことに感謝の気持ちを持つことができます。そして自分も相手も大切にされているという思いになり、たとえ意見が一致しなくても、人間関係まで壊れることはなくなるでしょう。そのためには冷静に状況を分析する力も必要になります。

アサーションは、家庭の中でも生かしていきたいスキルです。小さい頃からの親子関係の中で、アサーティブなコミュニケーションの取り方を自然に身につけていれば学校などの集団生活の中でも人間関係を楽しむことができるでしょう。しかし、今まで学ぶ機会がなかった人はぜひ練習をしてみてください。

また、言いづらいことは、「私は〜と感じます」とか「私には〜と思われますが・・」と「私メッセージ」で伝えることで、相手を傷つけずに自分の思いや考えを伝えることができるという方法があります。  詳細に知りたい方は、次の書籍などを参考にしてスキルを身につけていかれたらと思います。

(『アサーション・トレーニング―さわやかな〈自己表現〉のために』平木典子著 金子書房)

心と身体の健康コラムと言うことで、四回にわたりダイジェスト的にお伝えしてきましたが、少しでも皆様の健康増進のお役に立てていただければ嬉しいです。 ご拝読いただきありがとうございました。