<ピアサポートNOW>

自由に語り合い、聞き合い、交流する場として
自由に語り合い、聞き合い、交流する場として
のぞみ会が月に1回オープンする「のぞみ亭」

NPO法人 のぞみ会 理事長 高野 紀美 さん

変形性股関節症の会であるNPO法人のぞみ会は、東京の事務局に患者が集まり、病気や治療にまつわる悩みや不安、家族にも打ち明けられないつらさなどを自由に語り合う「のぞみ亭」を開いています。毎回、盛況で「のぞみ亭」への参加をきっかけに、のぞみ会に入会する人や見違えるように元気になる人もあり、充実した活動を続けています。患者が互いに語り合い、励まし合う――ヘルスケア関連団体の原点ともいえる、のぞみ会の活動をご紹介します。

変形性股関節症は、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全などをおもな原因とする進行性の病気です。病状は年齢、発病時期、生活背景などによって個人差があり、圧倒的に女性に多いことが特徴です。変形した股関節を元の状態に戻すことはできないため、発症すれば一生付き合うことにもなり、加齢とともに進行すると、痛みや跛行(足を引きずるように歩くこと)などの症状が強まって、日常生活に支障をきたします。治療法には保存療法と関節温存手術、人工股関節置換術が挙げられます。特に人工股関節についての医療技術は、近年めざましく進展していますが、異物を体内に埋め込むことに抵抗のある患者は多く、治療法の選択には悩みがつきまといます。
まず、「のぞみ亭」を始めたきっかけを教えてください

のぞみ会の支部のある県では交流会が開かれています。しかし、東京には支部がないため、事務局に会員さんが「悩みを聞いてほしい」「手術の経験者に話を聞きたい」と直接訪ねてこられることがあり、患者同士が語り合ったり、交流したりする機会の必要性を感じていました。そこで、悩みや不安、日常的な問題などを自由に話せる場を作ろうと、2004年に始めたのが、「のぞみ亭」です。 当初は、隔月の会合で、間の月には男性患者の集まりである「紳士の会」を開いていました。「のぞみ亭」には部屋に入りきらないほどの参加者が集まることもありました。一方、もともと男性患者の少ない疾病で、男性会員が少ないことから、「紳士の会」の参加者はそれほど多くはありませんでした。そこで、2011年4月から男女の区別をやめて、8月と12月を除き、毎月「のぞみ亭」を開くことにしました。

「のぞみ亭」の実際の様子や進め方を教えてください。
また、話を聞く側として心がけていることはありますか


「のぞみ亭」担当者が進行役となり、最初に“のぞみ亭のお約束”を提示してから、全員の自己紹介を行い、悩みや不安に思うこと、手術経験者への質問などを自由に話してもらいます。治療の種類や、話したい内容で分かれて話をすることもあります。のぞみ亭は午後3時で終了し、その後も話したい人たちには、それぞれで喫茶店などへ行ってもらいます。 参加者は50代が中心のようです。また40代前後に再発・重症化することが多く、子育てや仕事に忙しい時期であり、悩んでいる人も多い印象があります。連続して参加する人は少ないですが、手術の報告に久しぶりに顔を見せてくれたり、「ここに来ると元気をもらえるから」と時々やって来るリピーターもいます。 活動の中で私たちが心がけているのは、医療的なことは医師に相談してもらうこと、意見や判断を押しつけないこと、個人情報を慎重に扱うことなどです。話された内容については記録も取りません。ホームページなどで開催の告知はしますが、気軽に来てもらうため、予約制にはしていません。 「のぞみ亭」は、参加者が自分の思いを語り、人の話を聞く場であり、治療法などを自分で選択するためのサポートと認識しています。私たちは、相談に答えるのではなく、じっくり話を聞くだけですが、多くの人は聞いているうちに元気になり、自分で答えを導き出します。“同じ痛みを知っている者”として寄り添うことが大切だと思っています。

「出張のぞみ亭」など活動は広がっていますね。
今後の取り組みについて何か構想はありますか

「出張のぞみ亭」は2010年から始めました。支部のない地域にも、できるだけ同じようなサービスを提供しようと、支部のない県を選び、2010年は栃木県宇都宮市で、2011年は静岡県富士市で開催しました。どちらも盛況で、このような機会がほしかったという声が、多く聞かれました。ただ、私たち自身も患者であり、遠出をするのは負担も大きいため、今後、どのような形にしていくか検討しているところです。また、「のぞみ亭」に関しては、男性と同席では話しにくいという女性も見受けられるので、少し検討が必要だと考えています。

私たちはピアサポートと意識して「のぞみ亭」を始めたわけではないのですが、同じ気持ちを抱えた者同士が集い、語り合うことによって得られるものは大きいようです。「のぞみ亭」に参加したことをきっかけに、引きこもりがちだった人が行動的になったり、自らの経験を医療講演会で発表するなど見違えるほど積極的になったりするのを見ると、私たちもうれしく思います。

医療技術はめまぐるしく進展しています。その中で「新しい治療に踏み切れない」「手術後が不安」「仕事や家族の事情で治療に専念できない」などと、医療のはざまで悩む患者もいます。そういったつらい思いを受け止めるのも、ヘルスケア関連団体の役割ではないかと考えています。 「のぞみ亭」の活動は、多くの人から強く望まれていることを実感しています。患者でもある私たちが運営するには困難もありますが、みなで知恵を出し合い、協力し合いながら続けていきたいと思います。

NPO法人 のぞみ会

■設 立 1986年
■支 部 16支部
■会員数 約6500名

《参考資料》 のぞみ亭の「お約束」
  1. 自己紹介は手短に要点をまとめて、お名前・年齢・現在 の症状を3分程度でお願いいたします。
  2. 病院やお医者様の紹介はいたしません。なお、この会は 西洋医学に則っています。
  3. この場でのお話は、自分の経験に基づいています。個人 差があることをご理解いただきたいと思います。のぞみ亭 は、同じ悩みを共有する場として提供しています。ここで のお話は守秘義務がありますので、お守りください。
  4. なお、ここでお知り合いになった方たちで、住所・メール アドレスなど交換される場合もあると思いますが、くれぐれ も自己責任でお願いいたします。※会では責任を負いま せんので、ご了承ください。