<トピックス>

VHO-net 地域学習会合同会議 in TOKYO
これまでの歩みを振り返り団体リーダーのいっそうの成長を目指す

7月6日、ファイザー株式会社本社(東京都)において、ヘルスケア関連団体ネットワーキングの会(以下、VHO-net)の2014年度地域学習会合同会議が開催されました。VHO-netでは、地域学習会の活動が10周年を迎えたことを機に、世話人会や各地域の運営委員会において、活動の見直しや課題解決に向けての検討を行い、世話人や運営委員の位置づけを明確にし任期制を設けるなど会則の改訂を実施しました。その結果を受けて、合同会議では各地域学習会の発表と全体討議を実施。団体リーダーとしての課題や悩みを共有し、自己研鑽や価値転換を図る場として地域学習会を活用し、一人ひとりが住みやすい社会を目指すことを改めて確認しました。

各地域学習会の発表から

企画書を基に、今後の活動目的や学習会の内容、期待される成果などについて、各地域学習会の運営委員が発表しました。

北海道学習会 増田 靖子 さん

各ヘルスケア関連団体の相互理解、問題点の共有と改善を目的として取り組んでいく。学習会では、各団体の会員交流と会員への情報発信などの活動内容の発表を通じて相互理解を深め、それぞれの団体の問題点を共有し、改善点などについて考え、それぞれの活動に反映できるようにしたい。道内全体への拡大は容易ではないので、プロセスを大切に、地域性を活かしてゆっくり着実に進んでいきたい。

東北学習会 小関 理 さん

疾病や障がいを抱えた人たちが生活しやすい社会の実現を目指していきたい。現在ある社会資源について、どのようなサービスを利用しているか、どういったサービスが必要かを考える学習会を6月に開催し、障害年金を中心に話し合った。学習だけにとどまらず、東北の隅々に至る地域社会が生活しやすい場所になるよう、行政にも働きかけていけるような活動を目指したい。

関東学習会 島田 千穂 さん

ピアサポートを考える一環として、魅力ある演者として講演できるようになることを目指し、6月に医療者、看護学生、一般市民、製薬企業などを対象に想定した模擬講演を中心に学習会を実施。次回はピアサポートの相談の背景を探る予定。相談だけでは解決できない架空の事例を取り上げ、相談内容の核心に効率的に迫り、サポートすべき“困りごと”を発見することを目指す。

北陸学習会 木島 律子 さん

社会に信頼される患者団体となるために、伝える力を身に付けていきたい。医療者や介護専門職を対象に想定した模擬講演を行い、グループワークで検討する学習会を予定している。その後も継続して演者を交代しながら模擬講演を行い、参加者全体の表現スキルを磨く。的確に対応するための表現方法を学び、確実に発信することで、社会資源として患者団体が認められることを目指したい。

東海学習会 野原 正平 さん

東海学習会は、各県難病連と協力しながら学習会を行ってきたことが特徴。難病連との違いなども確認しながら、東海学習会としての活動の狙いや目的、さらには現在の状況を検討し、各種患者会がVHO-netに求めているものを考えていきたい。改めてVHO-netの意義を確認し、ヘルスケア関連団体の活動の発展を図るとともに、今後の東海学習会のあり方を考えたい。

関西学習会 美馬 有規子 さん

医療従事者などに患者への理解を促すための啓発と、講演できる人材の育成を目指す。学習会では模擬講演を行い、関西学習会独自の“講演のポイント”を使った評価検討を行っていきたい。今後、関西学習会が作成予定の講演ポイント集を、他の地域学習会でも使える社会資源とするために、冊子やポスターにまとめたい。また、今後は講演できる人材を紹介しPRする“人材バンク”なども考えていきたい。

四国学習会 藤井 ミユキ さん

ピアサポートのスキルアップを目的に、地域での相談の中から課題や問題点があった事例への対応を考え、さらに専門職からの意見を交えながら話し合いを行いたい。各ヘルスケア関連団体の相談活動に活かすことを目指すとともに、専門職との連携も図りたい。また事例発表を通して各自の振り返りができ、発表体験によって積極性の向上や活動への自信につながることも期待する。

九州学習会 岩本 利恵 さん

活動の原点に戻り、各団体の活動の共有を通して、自分たちの活動を改めて考えていきたい。グループワークで、各団体の活動について長所や短所、悩み、問題点、アピール点などを話し合い、自分たちの活動を客観的に考えることを目指す。各団体の取り組みを知り、良い点を取り入れ、自分たちの活動に必要なものを見出せるようになることを期待したい。

沖縄学習会 田港 華子 さん

ピアサポートの事例や、これまでの話し合いや専門職からのフィードバックを振り返り、事例集の作成を目指したい。次回の学習会では事例シートの様式や内容、分類、アプローチ方法など、ピアサポートの必要事項について話し合う予定。VHO-netを通して自らの活動を振り返り、学びを持ち帰って団体で共有し、また他の地域学習会と活動を共有することでさまざまなフィードバックも得たい。

中央世話人 増田一世さんに聞く「10年目の振り返りの意義」

VHO-net結成時から世話人を務めてきた増田一世さん(公益社団法人 やどかりの里)に、地域学習会の活動を見直した背景や改善点、今後、期待される取り組みについて伺いました。

1年間の検討を経て、新たなステージへ進む地域学習会

地域学習会の活動は、2004年に結成された関西学習会から始まりました。それから10年を経て、地域やメンバーが増え、活動が広がった反面、世話人会としては全体を把握しにくくなり、いくつかの課題が浮かび上がってきました。

そこで、もっと世話人会が全体の活動や進捗状況を把握し、自分たちなりに課題を解決して改革していこうと、この1年話し合ってきました。また支援を受けての活動ですから、きちんとしたルールの中で、責任の所在も明確にした活動にしようと、各地域の運営委員とも話し合い、準備を進めてきました。

そうした検討結果を受けて、6月から地域学習会が各地で行われていますが、明らかに変化が見えてきました。運営委員のみなさんが、「地域学習会5ヶ条」の方針を大切にしながら、目的や期待される成果を明確にして計画するようになり、自己研鑽の場、当事者の体験を重視する内容に変わってきたのです。また、中央世話人が運営委員会に参加するようになったことで、企画書や報告書を通じて双方向のコミュニケーションができるようになり、お互いにより理解し合えるようになったと思います。地域のみなさんとのつながりがとても大切であることを改めて確認しました。

一時期はもっと地域を広げていこう、メンバーを増やそうという流れがありましたが、今は無理に拡大するのではなく、自然にジワジワと活動の輪が広がっていくことを期待したいと思っています。地域学習会は、リーダーたちが地域に集い、自分の団体だけでは経験できないことを経験し、また他の地域の活動を知り、取り入れるべきところは取り入れながら成長する場になってほしいと考えています。そして、特に慢性疾患や難病、精神疾患の分野では社会資源の活用が遅れている面がありますので、リーダーたちが広い視野で権利意識をもつことも大切だと考えています。

VHO-netは、この10年、リーダーたちが地力をつけていくという活動を続けてきました。それは派手なイベントなどではなく、目立たない地道な活動ではありましたが、各自が確実に成長し、ひいては地域の当事者をバックアップすることにつながっているのではないかと思います。ヘルスケア関連団体のリーダーの出会いの場であり、体験を分かち合い、エンパワメントする場であるという、私たちの活動の原点を大切にしながら、また新しい歩みを始めたいと思います。

まねきねこの目

取材を終えて

今回、中央世話人、地域世話人の役割が明確に位置づけられ、また任期制になったことは、大いに注目される点だと感じられました。任期を設けることにより、後継者の育成という新たな課題も生まれますが、より多くの人が世話人として主体的にかかわることによって、視点の変化や活動の広がり、各自のいっそうの成長も期待できるのではないでしょうか。“派手ではないが着実にリーダーたちが地力をつけていく活動”が地域に根づいていくことを期待したいと思います。